ベトナムでオフショア開発のメリットやデメリット | Hachinet Software
オフショア開発というと、一般的に「安価」というコストメリットをイメージされる方が多いかと思います。しかし、近年ではその様相に変化がみられています。様々な要因がありますが、一例としてベトナム国内の経済成長や、日本をはじめとするグローバルでのIT人材に対する需給バランスの変動などにより、コストメリットは以前に比べ相対的に縮小傾向にあります。近年ではむしろ、ITに関連するマーケットの拡大とリソースの不足によって、リソース面でのメリットに対する注目が高まっています。
2021年11月26日

オフショア開発というと、一般的に「安価」というコストメリットをイメージされる方が多いかと思います。しかし、近年ではその様相に変化がみられています。様々な要因がありますが、一例としてベトナム国内の経済成長や、日本をはじめとするグローバルでのIT人材に対する需給バランスの変動などにより、コストメリットは以前に比べ相対的に縮小傾向にあります。近年ではむしろ、ITに関連するマーケットの拡大とリソースの不足によって、リソース面でのメリットに対する注目が高まっています。
1. はじめに
オフショア開発というと、一般的に「安価」というコストメリットをイメージされる方が多いかと思います。しかし、近年ではその様相に変化がみられています。様々な要因がありますが、一例としてベトナム国内の経済成長や、日本をはじめとするグローバルでのIT人材に対する需給バランスの変動などにより、コストメリットは以前に比べ相対的に縮小傾向にあります。近年ではむしろ、ITに関連するマーケットの拡大とリソースの不足によって、リソース面でのメリットに対する注目が高まっています。
一方で、オフショア開発の活用には主に文化的、地理的な隔たりに起因するコミュニケーション等における課題やリスクが存在していることは無視できません。
ゆえに優特徴だけでなく、デメリットやリスクも含めて認識をしたうえで、適切に対応をすることではじめてそのメリットを十二分に活かした運用が実現できると考えます。
こちらの記事がベトナムでのオフショア開発における特徴・リスクに対する理解を深める一助となり、最適なソリューションの検討に役立てていただけますと幸いです。
2. オフショア先にベトナムが多く選ばれる理由
◇親日的な国である点
1点目に上げられるのが、親日的な国である点です。海外でビジネスを行う上で、親日的な国であるということは、非常に重要です。反日の傾向がある国では、トラブルが発生するリスクを考えなければならないためです。
ベトナムは日本に対して好印象を持っている国ですので、友好なコミュニケーションをとりながらビジネスをすすめることができます。また、ベトナム人は勤勉で真面目であるといわれており、日本人と国民性が似ている点もビジネスパートナーとして選ばれる理由です。
また、ベトナムの学校教育で日本語教育に力を入れている学校が多く、日本へ留学する学生も多くいることから、日本語を理解できる若者が多く存在することもメリットです。
◇コスト
急速な経済成長を遂げているベトナムですが、依然として日本国内に比べると大幅なコストや税金のメリットを享受できる環境にあります。具体的な単価については、オフショア開発会社によっても差が出てきており、二極化が進みつつありますが、概ね1/4から1/3程度の単価と言われています。
さらに、単価と同様に、オフショア開発企業によって品質にも大きなばらつきが見られるようになってきていますが、特徴①でもご紹介した通り全体的な水準として開発力は年々上昇傾向にあります。
そのため、単価をある程度抑えつつスキルの高いエンジニアを活用した開発環境が構築しやすいという、優れたコストパフォーマンスを期待することが可能です。しかしながら、長期間的にはこのコスト特徴は縮小していく可能性が非常に高いことから、価格だけに着目してベトナムでのオフショア開発を検討するのはリスクがあるかもしれません。
◇豊富かつ優秀なエンジニアリソース
ベトナムでは国策として高度IT人材の輩出を掲げており、優秀な理系大学出身のIT人材が安定的に市場に供給されています。
その数は年々増加を続けており、毎年4万人の学生が専門的なITの教育課程を終え、2021年度には国内のITエンジニアの総数が約35万人に達すると言われています。
さらに、ベトナムではITエンジニアはいわゆる花形の職業の一つと認識されており、高い給与・人気から優秀な人材がこぞってIT業界を目指すという背景があります。
例えば、ベトナムでは大手IT企業が自ら大学を設立し、そこでエンジニアを学生の若手年代から育成をIT企業自ら行っています。そ中には、大学と連携して、教育を行っているようなオフショア開発企業さえもあります。そういった企業の教育で技術を養った卒業生が新しいオフショア開発企業を起業することも多く、自らの経験をもとに自身の企業でも教育制度が整える企業が多い傾向があります。
一方日本に目を向けると、周知のとおり労働人口自体が減少傾向にあり、特に若いIT人材の確保が年々難しくなっている状況です。経済産業省によれば、2030年には約40~45万人ものIT人材が不足すると見られています。こうした状況から、優秀なエンジニアを豊富に確保できるということは、日本の組織にとって非常に大きなメリットといえるでしょう。
特に大規模プロジェクトにおいては、日本国内では受託先が限られる一方で、ベトナムでは豊富なリソースを背景に比較的受け入れやすい環境にあります。管理面での難しさといった課題はあるものの、大規模プロジェクトの場合は主なメリットの1つであるコストメリットも非常に大きくなることから、検討の価値は非常に高いと思われます。
◇多様な条件の開発に対応しやすい
労働力が豊かな国に業務委託することで、大量に人材を確保可能です。そのため、短納期の開発や大規模な開発など、多様な条件の開発に対応可能です。
変化の激しいグローバル市場を見据え、スピーディーな開発体制を構築することもできます。求められるシステムを迅速に用意できるのは大きな強みです。
3. オフショア開発の課題・問題点
◇コミュニケーションが取りづらいことがある
委託先が外国である関係上、コミュニケーションの問題は免れません。仕様書や情報共有などの翻訳に手間取ることがあります。そのため、委託先側は日本語に対応している担当者がいない場合、英語もしくは現地の母国語を解する方スタッフが必要です。
現在、インターネットが普及し、コミュニケーションの手段自体は豊富ですのに、会議の際は時差の問題を考慮しなければなりません。特に緊急時などは、迅速な連絡・対応依頼が難しい場合があります。
◇文化の違いから、認識の差が生じやすい
委託先の国と日本では、文化にさまざまな違いがあります。価値観やビジネスマナー、仕事観等の違いも少なくありません。この違いからトラブルが起こることが考えられます。
例として、一般的に海外では契約にない業務は行われません。要件定義をしっかりしておかないと、発注側にとって品質が低いと感じる成果物になるリスクがあります。
4. オフショア開発を失敗しないための対策
◇コミュニケーション文化の違いを理解する
グローバルで展開するビジネスを考える時の基本となるのが、日本はハイコンクエストのコミュニケーションをとれる国であるという認識です。日本は単一民族の国なので、会話などのコミュニケーションにおいて、同一民族であれば当然わかるであろう部分においては、曖昧な表現をすることがよくみられます。こうした曖昧な表現が通用することをハイコンクエストと呼びます。
一方でグローバルな視点で考えると海外の国の多くは多様性のある多民族国家です。こうした国では日本で通用しているハイコンクエストのコミュニケーションは通用しません。他民族国家では文化的な共有部分が希薄なため、全ての項目について曖昧ではなく明確に表現し説明していかなければなりません。このような社会をローコンクエストと呼びます。
海外の国と取引をするオフショア開発では、ハイコンクエストでなければ通用しない曖昧な部分は無くし、ローコンクエストでのコミュニケーションを徹底する必要があります。また、資料なども徹底してローコンクエストで作成しましょう。「これ」「この」などの指示語は極力使用せず、明確な用語で説明しましょう。
◇オフショア先でテストチームを発足する
オフショア先でテストチームを発足するのも解決策のひとつです。上流工程からテストチームを参画させることで、案件とのズレを早期に発見できます。
また、テスターと開発者が同じ母国語なので密なコミュニケーションが取りやすく、開発状況が把握しやすくなり、その結果日本側で管理がしやすくなります。
◇ソースコードのレビュー
開発状況を把握するにはソースコードのレビューは非常に重要です。オフショア側に開発を丸投げすることはお勧めできません。丸投げすると、ユーザーテストの段階で認識違いが頻出し不具合が多く発生するケースや、リリースはできたものの拡張性がなく追加開発がしにくくなるケースが考えられます。
◇密なコミュニケーションを取る
前述のローコンクエストのコミュニケーションを取ると同時に、密なコミュニケーションを取るように積極的に取り組みましょう。具体的にはコミュニケーションツールで密なやり取りや図などを用いたコミュニケーション、場合によっては画面共有しながらのビデオ会議など、開発状況を把握することが重要です。また、日本とオフショア先の橋渡しの存在となるブリッジSEを現地に置くことも重要になってきます。
5. 結論
本記事がベトナムにおけるオフショア開発を検討される上で少しでも参考になれば幸いです。私たちHachinetはオフショアにおける品質保証に加え、品質を重視したオフショア開発にも取り組んでいます。オフショア開発やシステム開発に関してお悩みなどございましたら、ぜひHachinetにお気軽にお問い合わせください。御社のオフショアプロジェクトを最大限にサポートさせていただきます。
ITエンジニア派遣をご検討されている方々はぜひ一度ご相談ください。
※以下通り弊社の連絡先
アカウントマネージャー: クアン(日本語・英語対応可)
電話番号: (+84)2462 900 388
お電話でのご相談/お申し込み等、お気軽にご連絡くださいませ。
- オフショア開発
- エンジニア人材派遣
- ラボ開発
- ソフトウェアテスト
電話番号: (+84)2462 900 388
メール: contact@hachinet.com
お電話でのご相談/お申し込み等、お気軽にご連絡くださいませ。
無料見積もりはこちらから
Tags
ご質問がある場合、またはハチネットに協力する場合
こちらに情報を残してください。折り返しご連絡いたします。
関連記事

DNSトンネリングとは?攻撃の仕組み・実例・検出法・対策まで最新解説
インターネットの基盤であるDNSを悪用した「DNSトンネリング」は、近年増加している巧妙なサイバー攻撃の一種です。通常のDNS通信に偽装して、マルウェアの遠隔操作や機密情報の外部送信が行われるため、検出が困難です。本記事では、その仕組みや攻撃例、検出方法、効果的な対策について最新情報を交えてわかりやすく解説します。

【初心者向け】DNSサーバとは?仕組み・種類・設定方法・選び方まで徹底解説!
インターネットを使っていると、よく耳にする「DNSサーバ」。でも、「DNSサーバって結局何?」「設定って必要なの?」と疑問に思っている方も多いはず。 この記事では、DNSサーバの基本から種類・設定方法・選び方、そしてエラー時の対処法まで、初心者にも分かりやすく解説します。

ECサイトにおけるセキュリティ対策の基本と実装
インターネット上で商品やサービスを販売するECサイト(電子商取引サイト)は、企業にとって重要な収益源です。しかし、それと同時にサイバー攻撃の標的にもなりやすく、適切なセキュリティ対策が不可欠です。この記事では、ECサイトにおけるセキュリティの必要性と、基本的な対策方法について詳しく解説します。

オープンソースのECプラットフォーム比較:Magento、WooCommerce、OpenCart
オンラインショップを開設する際、多くの企業や開発者が注目するのが「オープンソースのECプラットフォーム」です。ライセンス費用を抑えられ、自由にカスタマイズ可能なため、特に中小企業やスタートアップに人気です。 本記事では、代表的な3つのプラットフォームMagento、WooCommerce、OpenCart の特徴、メリット・デメリットを比較し、どんな事業に最適かを解説します。

MVP開発戦略とは?製品開発を成功に導く方法
ソフトウェア開発の世界では、失敗を避けつつ、最小のコストで最大の価値を提供する方法として、MVP(Minimum Viable Product)アプローチが注目されています。本記事では、MVPの基本、種類、開発ガイドラインから、プラットフォーム選びやアクション戦略まで、製品開発に役立つ知識を網羅的に紹介します。

MVP とは:システム開発における最小限の製品の概念
システム開発において「MVP(Minimum Viable Product)」という言葉を耳にしたことがあるかもしれません。MVPは、製品開発の初期段階において、最小限の機能だけを持つ製品を市場に投入し、ユーザーからのフィードバックを元に改善を重ねていく手法です。このアプローチは、無駄なリソースを避け、迅速に市場に適応するための強力な手段として広く採用されています。今回は、MVPがシステム開発においてどのように活用されるのか、その特徴やメリット、開発手法との違いについて詳しく解説します。

生成AI分野で大注目!DeepSeekとは?4つの活用事例を紹介
最近、AI技術はますます進化し、さまざまな分野で活用されています。その中でも、DeepSeekという革新的なAIツールが注目を集めています。DeepSeekは、AIの進化とビッグデータの解析を組み合わせた強力なプラットフォームで、ビジネスや研究の現場での活用が期待されています。この記事では、DeepSeekとは何か、その主要技術や使い方、さらにはAI市場への影響について詳しく解説します。

おすすめAIエージェントツール10選について解説
近年、AI技術の進化により、ビジネスや日常生活における効率性が劇的に向上しています。特に、AIエージェントツールは、多くのタスクを自動化し、人間の作業負担を軽減する手助けをしています。この記事では、AIエージェントツールとは何か、どのような種類があるのか、そしておすすめのAIエージェントツールを10個紹介します。これにより、あなたの業務やプロジェクトを効率化するための参考になることでしょう。

ChatGPT・Gemini・Claudeを徹底比較!生成AIツールの選び方ガイド
近年、生成AIツールの普及が進んでおり、特にChatGPT(OpenAI)、Gemini(Google)、Claude(Anthropic)の3つは、ビジネスから教育、日常生活まで幅広く活用されています。しかし、それぞれのツールには特徴や得意分野があり、「どれを選べばいいのか分からない」と悩む方も多いのではないでしょうか。 本記事で、Hachinetはこれら3つの生成AIツールを徹底比較し、あなたの目的や用途に最適なツールを見つけるための参考にしていただければと思います。

2025年注目されそうなIT業界トレンド10選
2025年は、IT業界にとって重要な転換期となり、革新的な技術や新たなトレンドが企業の運営や私たちの日常生活に大きな影響を与えるでしょう。人工知能(AI)、空間コンピューティング、量子後暗号化などの先端技術は、急速に進化しており、これらをいかに活用するかが企業の競争力を左右する鍵となります。これらの技術を効果的に導入することが、企業の成長と持続可能な発展に繋がります。 2025年のIT業界のトレンドを理解することは、企業が変化に適応し、将来の課題を乗り越えるための重要なステップです。AIの自動化(エージェント型AI)や偽情報のセキュリティ、ポスト量子暗号といった新しい技術は、企業の業務プロセスやビジネスモデルを根本から変える可能性を秘めています。この記事では、2025年に注目すべき10のIT業界のトレンドを紹介し、これからの時代に必要な知識と準備を共有します。

Go言語の理解:シンプルさとパフォーマンスの力
プログラミング言語の中で、パフォーマンス、シンプルさ、スケーラビリティを兼ね備えた言語は数少ないですが、その中でも Go言語(別名 Golang)は特に注目されています。Goはバックエンド開発者、システムプログラマー、さらには大規模なクラウドネイティブアプリケーションにも使われています。それでは、Go言語は一体何が特別なのか?どうしてこれほど人気があるのでしょうか?本記事では、Goの起源、その主要な特徴、そして現在のソフトウェア開発における活用法について深掘りしていきます。

人工知能:IT業界における利点と弱点の探求
デジタル化の時代において、人工知能(AI)は、製造業や医療、カスタマーサービス、情報技術など、多くの分野において欠かせない存在となっています。AIの急速な発展は、新しい機会を開くと同時に、IT業界やベトナムのITエンジニアに対して多くの課題をもたらしています。プロセスの自動化、大量のデータの分析、顧客体験の向上を実現するAIは、私たちの働き方や生活の仕方に深い変化をもたらしています。この記事では、人工知能の概念、IT業界にもたらす利点、そしてこの技術がもたらす弱点や課題について探求していきます。