設計書とは?基本設計書と詳細設計書の違い・書き方・チェック項目を徹底解説
システム開発において、「設計書」はプロジェクトの成否を左右する非常に重要なドキュメントです。要件定義から実装、テスト、運用に至るまで、すべての工程において設計書が正しく整備されているかどうかで、品質や納期、メンテナンス性に大きな影響を与えます。特に「基本設計書」と「詳細設計書」は役割が異なり、それぞれの目的や構成を正しく理解して書き分けることが求められます。本記事では、設計書の基本から、具体的な記載項目、レビュー時のチェックポイントまでを、実務経験をもとにわかりやすく解説していきます。
2025年07月23日
システム開発において、「設計書」はプロジェクトの成否を左右する非常に重要なドキュメントです。要件定義から実装、テスト、運用に至るまで、すべての工程において設計書が正しく整備されているかどうかで、品質や納期、メンテナンス性に大きな影響を与えます。特に「基本設計書」と「詳細設計書」は役割が異なり、それぞれの目的や構成を正しく理解して書き分けることが求められます。本記事では、設計書の基本から、具体的な記載項目、レビュー時のチェックポイントまでを、実務経験をもとにわかりやすく解説していきます。
1. 設計書には基本設計書と詳細設計書がある
設計書とは?
「設計書」とは、システム開発において「何を、どのように作るか」を関係者全員に共有するためのドキュメントです。ユーザー・エンジニア・テスター・保守運用チームなど、多くの関係者が読むことを前提としているため、正確かつ分かりやすい表現が求められます。
基本設計書と詳細設計書の違い

2. 設計書に書かれている項目について
基本設計書の記載項目(主に外部設計)
基本設計書では、まず「システム全体の概要」や「開発の目的」といった前提情報が明記されます。これにより、関係者全員が共通認識を持つことができます。
次に、「機能一覧」では各画面やバッチ処理などの主要な機能が整理され、それぞれの役割や連携の概要が記載されます。利用者の視点から見た「業務フロー」や「データフロー」も図などを用いて表現されることが多く、業務全体の流れやデータの動きが視覚的に理解できるようにします。
また、「画面設計書」では、各画面のレイアウト、入力項目、出力内容、そして画面遷移などが定義され、ユーザーインターフェースの仕様がまとめられます。
さらに、「外部インターフェース仕様」では、他システムとの連携に必要な情報(APIの仕様やデータ連携形式など)が記載され、非機能要件としてはセキュリティ要件、同時接続数、レスポンス速度などの性能面も設計段階で明示します。
詳細設計書の記載項目
詳細設計書では、基本設計よりも具体的かつ技術的な情報が記述されます。まず、「クラス設計」ではモジュールやクラスの構成、責任範囲、相互関係などが図や文章で定義されます。これにより、開発者が実装すべき構造が明確になります。
次に、「データベース設計書」では、テーブルごとのカラム定義、データ型、主キーや外部キーの関係、制約条件などが詳しく記述されます。ER図を用いて視覚的に表現されることも一般的です。
「API設計書」では、各APIエンドポイントのURL、HTTPメソッド(GETやPOSTなど)、リクエストパラメータ、レスポンス形式、ステータスコード、エラーメッセージなどが記述され、フロントエンドや他システムとの連携に必要な仕様が網羅されます。
また、バリデーションに関する仕様では、必須入力条件、有効桁数、正規表現などの入力制限が明記され、処理フローに関する記述では、擬似コードやフローチャート、シーケンス図などを用いてロジックの流れが表現されます。
エラーハンドリング設計では、発生しうる例外や障害パターン、ログ出力のルール、ユーザーへの通知内容などが明示され、実装やテストに必要な情報が揃えられます。
最後に、設計上の前提条件や制限事項(例:使用するミドルウェア、対応ブラウザ、運用時間など)も記述されることで、環境に依存する要素をあらかじめ明確にしておくことができます。
3. 設計書におけるチェックポイントについて
設計書レビュー時の主なチェックポイント

品質の高い設計書を作るコツ
・視覚的に整理する → 表・図・フロー図を効果的に活用。特に業務フローは BPMN や UML 活用がおすすめ。
・読み手を意識する → 誰が読むかを想定し、「背景」や「前提条件」も丁寧に書く。
・コメント・メモ欄を残す → なぜこの設計にしたのかの理由を明記。設計意図が伝わりやすくなる。
・チェックリストを作る → 自動レビュー・人間レビューともに「チェックリスト方式」で行うと漏れが少ない。
設計書レビュー時の便利なツール
・Backlog/Confluence:共同編集&履歴管理に最適
・PlantUML:クラス図やシーケンス図を簡単に描ける
・Draw.io/Lucidchart:フローチャートや画面設計の図を美しく整理
・Google Docs/Excel Online:複数人で同時編集・コメントが可能
設計書は、システム開発における「設計の見える化」を実現するための最も重要な資料です。基本設計書と詳細設計書を適切に使い分けることで、要件と実装のズレを防ぎ、関係者全員が同じ方向を向いて開発を進めることができます。さらに、設計書の品質を高めるには、読み手を意識した表現、図やフローの活用、そしてチェックリストによるレビュー体制の構築が不可欠です。日々変化する技術やビジネス要件に柔軟に対応するためにも、設計書の書き方や考え方を今一度見直し、誰もが理解しやすく、保守性の高い設計を目指していきましょう。
- オフショア開発
- エンジニア人材派遣
- ラボ開発
- ソフトウェアテスト
電話番号: (+84)2462 900 388
メール: contact@hachinet.com
お電話でのご相談/お申し込み等、お気軽にご連絡くださいませ。
無料見積もりはこちらから
Tags
ご質問がある場合、またはハチネットに協力する場合
こちらに情報を残してください。折り返しご連絡いたします。
関連記事
SaaS開発の基本アーキテクチャ:マルチテナント vs シングルテナントの選び方
SaaS(Software as a Service)は、ソフトウェアをクラウド上で提供し、ユーザーがインストールやメンテナンスを行うことなく利用できる形態として、多くの企業や開発者に選ばれています。そのSaaSを支える根幹がアーキテクチャ設計であり、特に「マルチテナント」と「シングルテナント」という2つの構成の違いが、コスト効率・セキュリティ・拡張性に大きな影響を与えます。この記事では、それぞれの特徴とメリット・デメリットを整理し、SaaS開発においてどちらの構成を選ぶべきかをわかりやすく解説します。
SaaS開発とは?オンプレミスとの違いと、今SaaSが選ばれる理由【初心者向け】
近年、ビジネスの現場では「SaaS(サース)」という言葉を耳にする機会が急増しています。業務システムを自社サーバーに構築する従来型の「オンプレミス」とは異なり、SaaSはインターネット経由で必要なソフトウェアを手軽に利用できるクラウド型サービスです。導入のしやすさやコストの低さ、常に最新の状態で使える利便性から、今や中小企業から大手企業まで幅広く導入が進んでいます。また、こうしたサービスを利用するだけでなく、自社で開発・提供する「SaaS開発」も注目されており、スタートアップやIT事業者にとって大きなビジネスチャンスとなっています。本記事では、SaaSとは何か、そのメリットやオンプレミスとの違い、そしてSaaS開発がなぜ今選ばれているのかを初心者向けにわかりやすく解説していきます。
【2025年最新版】アプリとWebの違いと今後の融合トレンドとは?
スマートフォンやパソコンを使う中で、私たちは日常的に「アプリ」や「Webサイト(Webアプリ)」に触れています。一見するとどちらも似たように感じられるかもしれませんが、技術的な仕組みやユーザー体験には明確な違いがあります。しかし、近年の技術進化により、その境界線は急速に曖昧になりつつあります。本記事では、アプリとWebの基本的な違いを整理しながら、2025年以降に加速すると予想される「融合」の流れ、そしてSuper AppやAI UIといった次世代のユーザー体験の展望について、わかりやすく解説します。
アプリとWebの違いを知らないと損?成功するチーム構成と必要スキルとは
アプリとWebのサービスは、私たちの日常に深く関わっていますが、実際の開発現場ではその構造や進め方、求められるスキル、チーム構成に大きな違いがあります。本記事では、「アプリとWebの違い」というテーマを中心に、それぞれの開発プロセスや必要な職種・スキル、チーム編成の変化についてわかりやすく解説します。これから開発を始める方、チーム構成を見直したい方にとって、実践的な視点を提供します。
アプリとWebアプリの違いを徹底比較!できること・できないことを技術視点で解説
現代のWeb技術の進化により、アプリとWebアプリの違いは「見た目」だけでは判断できないほどに接近しています。しかし、内部の仕組みや利用できる機能には明確な違いがあり、目的や要件に応じた適切な技術選定がますます重要になっています。本記事では、エンジニア視点から「アプリとWebアプリの技術的な違い」に焦点を当て、Webアプリで“できること”と“できないこと”を具体的に解説します。PWAなどの最新技術にも触れながら、Webアプリの可能性と限界を正しく理解する手助けとなる内容をお届けします。
名刺管理の常識を変える。AIクラウドツールBoxCardでビジネスを加速
商談やイベントのたびに名刺が増えていく──それは人脈が広がる喜びである一方、管理の負担でもあります。必要な名刺がすぐ見つからない、入力に時間がかかる、そんな小さな非効率が積み重なると、ビジネス全体のスピードを鈍らせます。BoxCardは、AIによる自動スキャンとクラウド保存で、この「名刺管理の手間」を根本から解消するために生まれた次世代ツールです。撮影するだけで正確なデータ化と自動整理を実現し、忙しいビジネスパーソンの時間を取り戻します。紙の名刺を“活用できるデータ資産”へ変える、それがBoxCardの使命です。
従来の名刺管理ツールを超える──BoxCardが選ばれる理由
営業先や展示会で名刺をもらっても、後から「どこに置いたっけ?」と探す時間がかかる──そんな経験はありませんか。名刺管理はシンプルな作業に見えて、実は多くのビジネスパーソンが抱える生産性の落とし穴です。BoxCardは、その課題を根本から解決するために生まれた次世代の名刺管理ツールです。AIによる高精度スキャンと自動整理機能で、もらった名刺を“データ資産”としてクラウドに安全に保管。入力も整理も不要、数秒で検索できる名刺管理の新しい形を提供します。ビジネスのスピードを落とさない、あなた専用のスマート管理パートナー。それが当社のBoxCardです。
WebアプリでよくあるUX失敗とは?デバイス対応の落とし穴と解決法を徹底解説
近年、Webアプリの利用が急速に拡大し、スマートフォンやタブレットなど多様なデバイスからのアクセスが当たり前になっています。一方で、ネイティブアプリと比較すると、Webアプリはデバイス固有の機能や操作性を十分に活かしにくく、UX(ユーザーエクスペリエンス)設計が難しい面があります。本記事では、「アプリ web 違い」を踏まえつつ、特にWebアプリで陥りやすいUXの失敗例を紹介し、具体的な回避策を解説します。ユーザー視点に立ったUX改善のヒントをお届けし、モバイルUXの質を高めるためのポイントを押さえましょう。
アプリ vs Webアプリ:今選ぶべきはPWA?その違いと最新動向
スマートフォンが日常生活に欠かせない存在となった今、企業や開発者にとって「アプリ」と「Web」のどちらを選ぶべきかという問題は、より重要性を増しています。従来は、リッチな機能や操作性を求めるならネイティブアプリ、手軽さや幅広い対応を重視するならWebという棲み分けが一般的でした。しかし近年では、Web技術の進化とともに登場したPWA(Progressive Web App)により、この境界線が曖昧になりつつあります。本記事では、「アプリ web 違い」という視点から、PWAを含む各技術の特徴、メリット・デメリット、今後の可能性について詳しく解説します。
アプリとWebの違いとは?セキュリティの観点から徹底比較|安全性とリスクを見極める
新しいサービスやシステムを構築する際、「アプリにするべきか、それともWebベースで始めるべきか?」という疑問は多くの企業や開発者に共通するテーマです。特にセキュリティの観点から見ると、両者には設計思想やリスクへの対処法に明確な違いがあります。本記事では、「アプリweb 違い」を中心に、両者の基本的な構造とセキュリティ対策を比較しながら、それぞれの強みと弱点をわかりやすく解説します。安全性・更新性・ユーザー認証などの観点から、どのような場面でどちらを選ぶべきか、実際のユースケースも踏まえて検討していきます。
アプリとWebの違いとは?初心者にもわかる基礎知識を丁寧に解説
スマホやパソコンで日々使っている「アプリ」と「Webサービス」、その違いをご存知でしょうか?見た目や操作は似ていますが、開発方法や機能、使われ方には明確な違いがあります。この記事では、初心者の方にもわかりやすく、「アプリとWebの違い」について基本から丁寧に解説していきます。これからアプリ開発やサービス導入を検討している方にとって、判断の手助けになる内容です。
