×

「外部設計」と「内部設計」とは?それぞれの違いと作業内容を解説

システム開発において、「設計書」は単なる形式的な書類ではなく、プロジェクトの成否を大きく左右する重要なドキュメントです。開発スピードや柔軟性が求められる現代においても、設計書をしっかりと整備することで、品質の高いソフトウェア開発、チーム内の認識共有、そして保守性・拡張性の確保につながります。本記事では、設計書の基本から外部設計・内部設計の違い、良い設計書の条件まで、10年以上の実務経験を踏まえてわかりやすく解説します。

 2025年07月24日

システム開発において、「設計書」は単なる形式的な書類ではなく、プロジェクトの成否を大きく左右する重要なドキュメントです。開発スピードや柔軟性が求められる現代においても、設計書をしっかりと整備することで、品質の高いソフトウェア開発、チーム内の認識共有、そして保守性・拡張性の確保につながります。本記事では、設計書の基本から外部設計・内部設計の違い、良い設計書の条件まで、10年以上の実務経験を踏まえてわかりやすく解説します。

1. システム設計の流れ

設計書の作成は、「要件定義」の後に行う設計フェーズで実施されます。以下のような流れが一般的です。

・要件定義:ユーザーの業務要件・システム要件を明確にする

・外部設計(基本設計):UIや業務フロー、入出力仕様を決定

・内部設計(詳細設計):プログラムロジックやDB構造などを定義

・コーディング・実装

・テスト工程(単体・結合・総合)

設計書は、開発者だけでなく、テスターや保守担当者にも参照される「仕様の辞書」のような存在です。

 

2. 外部設計とは?

外部設計(がいぶせっけい)は、ユーザーの視点でシステムの振る舞いを定義する工程です。別名「基本設計」とも呼ばれ、クライアントとの合意形成にも重要な意味を持ちます。

 

外部設計で作成する主なドキュメント:

・画面遷移図・画面仕様書(UI/UX)

・帳票設計書(PDF, Excelなどの出力定義)

・入出力データ仕様書(CSV, APIリクエストなど)

・外部インタフェース仕様書(API連携など)

・業務フロー図(BPMN)

 

外部設計書は、「技術者でなくても理解できる」表現が大切です。ビジネス部門・ユーザーとも共有されるため、曖昧な表現は避けましょう。

 

3. 内部設計とは?

内部設計(ないぶせっけい)は、開発者向けにシステムの内部構造や挙動を定義する工程です。コーディングに必要な技術的な詳細を記述し、プログラム単位での仕様を明確にします。

 

内部設計で作成する主なドキュメント:

・クラス図・シーケンス図(UML)

・データベース設計書(ER図、DDL)

・処理フロー・擬似コード

・バッチ処理定義書

・エラーハンドリング仕様

・モジュール仕様書(関数一覧など)

内部設計書は、コーディングの「設計図」です。読みやすく、誰が見ても同じ実装ができるように、命名規則やロジックの整合性を意識しましょう。

 

4. 外部設計と内部設計の違い

両者は似ているようで、対象や目的が異なります。



実務では、外部設計をもとに内部設計が行われます。この2つの整合性がとれていないと、手戻りや品質低下に繋がるため注意が必要です。

 

5. 製作物の品質の高さは、良い設計があってこそ

どれだけ優れたエンジニアがいても、設計が曖昧・不完全では品質の高いシステムは作れません。

 

良い設計書の条件:

・誰が読んでも同じ解釈ができる

・改修・保守がしやすい構成

・ドキュメント間の整合性が保たれている

・更新が容易で、運用後も活用される

 

また、設計書がしっかりしていると:

・ バグの予防になる

・ 引き継ぎがスムーズになる

・ ドキュメントが運用や監査にも使える

 

アジャイル開発でも、最低限の設計書を残しておくことが品質保証・技術的負債の抑制につながります。

 

設計書は、開発プロジェクト全体の品質・効率・継続性を支える基盤です。特に外部設計と内部設計を適切に使い分け、誰が見ても理解できるドキュメントに仕上げることで、チーム間の齟齬を防ぎ、後工程のトラブルも最小限に抑えられます。開発者にとって「設計力」は、コードを書く力と同じくらい大切なスキルです。設計書を通じて、技術的思考を言語化し、伝える力を育てていきましょう。

いずれかのサービスについてアドバイスが必要な場合は、お問い合わせください。
  • オフショア開発
  • エンジニア人材派遣
  • ラボ開発
  • ソフトウェアテスト
※以下通り弊社の連絡先
電話番号: (+84)2462 900 388
メール: contact@hachinet.com
お電話でのご相談/お申し込み等、お気軽にご連絡くださいませ。
無料見積もりはこちらから

Tags

ご質問がある場合、またはハチネットに協力する場合
こちらに情報を残してください。折り返しご連絡いたします。

 Message is sending ...

関連記事

 2025年07月25日

設定書とは?仕様書との違いと現場での使い分けを徹底解説

システム開発やインフラ構築の現場において、「設定書」はプロジェクトの再現性・安定稼働・保守性を支える不可欠なドキュメントです。しかし「仕様書との違いがよく分からない」「どうやって書けばいいか曖昧」と感じる方も少なくありません。本記事では、設定書の定義や目的を明確にし、仕様書との違いや使い分け方、実際の記載例、現場で活用されるベストプラクティスまで、現役エンジニア視点でわかりやすく解説します。これからドキュメント整備に取り組む方、品質向上を図りたいプロジェクトマネージャー、開発・運用双方の立場を理解したい方にとって、実践的で有益な内容となっています。

 2025年07月23日

設計書とは?基本設計書と詳細設計書の違い・書き方・チェック項目を徹底解説

システム開発において、「設計書」はプロジェクトの成否を左右する非常に重要なドキュメントです。要件定義から実装、テスト、運用に至るまで、すべての工程において設計書が正しく整備されているかどうかで、品質や納期、メンテナンス性に大きな影響を与えます。特に「基本設計書」と「詳細設計書」は役割が異なり、それぞれの目的や構成を正しく理解して書き分けることが求められます。本記事では、設計書の基本から、具体的な記載項目、レビュー時のチェックポイントまでを、実務経験をもとにわかりやすく解説していきます。

 2025年07月22日

シナリオテストとは?書き方・作り方・具体例まで徹底解説

現代のソフトウェア開発では、単なる機能テストだけではユーザー満足を得ることが難しくなっています。そんな中で注目されているのが「シナリオテスト」という手法です。ユーザーの実際の操作フローに沿ってシステムを検証することで、より現実的なバグ検出やUX改善が可能になります。本記事では、シナリオテストとは何か、その作り方・書き方・具体例まで、初心者でも実践できる内容を丁寧に解説します。

 2025年07月21日

シナリオテストとは?単体テストとの違いと実施ポイントをわかりやすく解説

現代のソフトウェア開発において、「テスト」は単なるバグ探しではなく、ユーザー体験と品質を守るための戦略的なプロセスとなっています。その中でも「シナリオテスト」は、実際の業務フローやユーザー操作に基づいてアプリケーション全体の動作を確認できるテスト手法として、ますます注目を集めています。一方で、「単体テストとの違いがわからない」「どう設計すれば良いのか不明」といった悩みも多く聞かれます。本記事では、シナリオテストの基本的な概念や目的、単体テストとの違い、実施方法、現場での課題と対策までを網羅的に解説し、初心者から実務担当者まで役立つ内容を丁寧に紹介します。

 2025年07月21日

シナリオテストとは?結合テストとの違い・実施ポイントを徹底解説

現代のソフトウェア開発において、品質保証はプロダクトの信頼性とユーザー満足度を左右する極めて重要な工程です。中でも、実際のユーザー行動を再現してテストを行う「シナリオテスト」は、単なる機能検証では見落とされがちな課題を浮き彫りにする手法として注目されています。本記事では、シナリオテストの定義や特徴、設計のポイントを解説するとともに、よく混同されがちな「結合テスト」との違いについてもわかりやすく整理します。

 2025年07月17日

シナリオテストとは?目的・書き方・注意点まで徹底解説【現場で役立つ実践ガイド】

システム開発が複雑化し、ユーザー体験が重視される現代において、単なる機能確認では不十分な時代となりました。そこで注目されているのが「シナリオテスト」です。これは実際のユーザー操作や業務フローを再現しながら、アプリやシステムが期待通りに動作するかを総合的に検証するテスト手法です。本記事では、シナリオテストの定義から書き方、現場での活用方法や注意点まで、ITエンジニア・QA担当者・PM向けにわかりやすく解説していきます。

 2025年07月16日

AIで不良品を検出?Pythonで製造業向け画像検査システムを作ってみた

近年、製造業の現場ではAI技術の導入が急速に進んでおり、なかでも「Pythonによる画像認識」は、不良品の自動検出や検査工程の省力化を実現する手段として注目を集めています。従来の目視検査は人手や経験に依存する部分が多く、検査ミスや属人化といった課題がありましたが、AIを活用すれば、より安定した品質管理と作業効率の向上が可能になります。本記事では、「Python 画像 認識」をキーワードに、実際に製造業向けの画像検査システムを構築した事例を交えながら、使用した技術や開発の流れ、実運用に向けたポイントについて詳しく解説していきます。

 2025年07月16日

【リアルタイム画像認識入門】PythonとYOLOv8で物体検出をはじめよう!

AIやディープラーニング技術の進化により、「画像認識」はもはや研究室だけのものではなく、誰でも手軽に扱える技術となりました。中でも、物体検出アルゴリズム「YOLO」は、高速かつ高精度なリアルタイム処理が可能で、実用性の高さから注目を集めています。本記事では、Pythonを使ってYOLOv8を実装し、リアルタイムで物体を検出する方法を、初心者にも分かりやすく解説します。

 2025年07月15日

Pythonを使った画像認識の始め方|初心者でもできるステップ

近年、AI技術の急速な進歩により、画像認識は医療、製造、自動運転など幅広い分野で重要な役割を担っています。中でもPythonは、豊富なライブラリと扱いやすさから、初心者でも手軽に画像認識の開発に挑戦できる言語として注目されています。本記事では、Pythonを使った画像認識の基本的な手順から初心者におすすめの学習方法まで、専門知識を持つ筆者が分かりやすく解説します。これから画像認識を学びたい方やAI技術に興味のある方の入門ガイドとして役立つ内容です。

 2025年07月15日

Pythonを使った画像認識とは?仕組み・活用例・おすすめライブラリを徹底解説【OpenCVも紹介】

近年、AI技術の進化により、「画像認識」は様々な業界で注目される技術となりました。なかでも、Pythonはそのシンプルな構文と豊富なライブラリ群により、画像認識の開発現場で最も選ばれているプログラミング言語の一つです。製造現場での外観検査、小売業での棚在庫管理、医療分野での画像診断など、用途は年々拡大しています。本記事では、Pythonを使った画像認識の基本的な仕組みから、実際にできること、業務活用の視点、さらにはOpenCVを活用した開発手法まで、専門的な内容をやさしく解説します。画像認識に興味のあるエンジニア、業務へのAI活用を検討している方、そしてDXを推進したい企業担当者にとっても、実践的なヒントが得られる内容となっています。

 2025年07月11日

【2025年最新版】AIで進化するウォーターフォール開発|エラー削減・効率化を実現するスマート統合とは?

ウォーターフォール開発は、要件の安定性や厳格な管理体制が求められるシステム開発において、今なお多くの企業で活用されています。しかし、変化の激しい現代においては、その柔軟性の低さや開発スピードの遅さが課題視されがちです。そこで注目されているのが、AI(人工知能)との統合です。本記事では、AIを活用してウォーターフォール開発をどのように効率化・高度化できるのか、具体的な活用方法や導入事例、最新のスマートツールまで、10年以上IT領域で執筆を続ける筆者が徹底的に解説します。

 2025年07月09日

ウォーターフォール×アジャイルの融合:2025年型ハイブリッド開発とは?

長らく「古い開発モデル」として見られてきたウォーターフォールモデル。しかし、現実の現場では未だに多くの企業がこのモデルを採用し続けています。特に大規模プロジェクトや、金融・医療・公共系のシステム開発では、その構造化された進行と明確なドキュメント管理が重視されています。一方、アジャイル開発は「スピードと柔軟性」を重視する現代的な手法として広がりを見せましたが、管理や品質面での課題が浮き彫りになる場面もあります。そのような背景から、今業界で注目されているのが「ハイブリッド開発」。

 2025年07月08日

ウォーターフォールとアジャイルの違いとは?徹底比較&実践ガイド

近年、システム開発の現場ではアジャイル開発が注目される一方で、ウォーターフォール開発も根強い支持を受けています。どちらの手法にもメリット・デメリットがあり、プロジェクトに応じた選択が重要です。本記事では、両者の違いを7つの観点から徹底比較し、さらに使い分けのポイントやハイブリッド開発の可能性についても解説します。

 2025年07月08日

ウォーターフォール開発とは?流れ・メリット・デメリットやさしく解説!

システム開発やWebアプリ制作の話をするとき、「ウォーターフォール開発」という言葉を聞いたことがある方も多いのではないでしょうか?特に企業での大規模プロジェクトや、SIerなどの受託開発でよく採用される伝統的な手法の一つです。この記事では、ウォーターフォール開発の特徴から流れ、メリット・デメリット、そして他の開発モデルとの違いまで、初心者の方でもわかりやすく丁寧に解説します。

 2025年07月04日

【2025年最新版】Python Web アプリに使われる代表的なフレームワーク・ライブラリを徹底解説

Pythonはデータ分析、機械学習、スクリプト開発だけでなく、Webアプリケーションの開発でも非常に優秀な選択肢です。文法が簡潔で初心者にも学びやすく、コミュニティも活発で、豊富なライブラリやツールが用意されています。 PythonでWebアプリを開発する最大の魅力は、目的やスケールに応じたフレームワークを柔軟に選べる点にあります。小規模なプロトタイプから、大規模な商用サービスまで、幅広く対応可能です。