Springを内部構造から理解するための基礎知識と主要アノテーション詳解
Springとは何かを理解する際に重要なのは、「どの処理がSpringに委ねられ、どの処理がアプリケーション側の責務なのか」を切り分けて把握することです。本記事ではSpringを単なる便利なフレームワークとして扱うのではなく、IoCコンテナの内部構造、Bean管理、アノテーションがどのタイミングで解釈されるのかを技術的に掘り下げます。
2026年01月09日
Springとは何かを理解する際に重要なのは、「どの処理がSpringに委ねられ、どの処理がアプリケーション側の責務なのか」を切り分けて把握することです。本記事ではSpringを単なる便利なフレームワークとして扱うのではなく、IoCコンテナの内部構造、Bean管理、アノテーションがどのタイミングで解釈されるのかを技術的に掘り下げます。
1. Springとは何か
Springとは、Javaアプリを構成するオブジェクト群をBeanとして管理し、その生成・依存関係・ライフサイクルを統一的に制御するフレームワークです。
Springは以下の責務を担います。
・Bean定義の読み込み(アノテーション、Java Configなど)
・BeanDefinitionの生成
・依存関係の解決と注入
・Beanライフサイクルの管理
・AOPなどの横断的関心事の適用
開発者は「new」を極力書かず、Springが提供するコンテナに制御を委ねます。
2. IoCコンテナの構成要素
ApplicationContext
SpringのIoCコンテナはApplicationContextによって実装されています。これは以下の役割を持ちます。
・BeanFactoryとしての機能
・メッセージリソース管理
・イベント発行・購読
・リソース読み込み
Spring BootではAnnotationConfigApplicationContextが自動的に構成されます。
BeanFactory
BeanFactoryは最小単位のIoC機能を提供します。ApplicationContextはその上位概念であり、実務では直接扱うことはほとんどありません。
3. Bean定義とライフサイクル
BeanDefinition
Springはクラスそのものではなく、BeanDefinitionというメタ情報を管理します。
BeanDefinitionには以下が含まれます。
・クラス名
・スコープ(singleton, prototypeなど)
・依存関係
・初期化・破棄メソッド
Beanライフサイクル

この流れを理解していないと、@PostConstructやAOPの挙動で混乱しがちです。
4. Springでよく使われるアノテーション詳細
@Componentとクラスパススキャン
@Componentが付与されたクラスは、クラスパススキャン時に検出されます。

スキャン結果はBeanDefinitionとして登録され、実体は必要に応じて生成されます。
@Service / @Repositoryの内部的意味

@RepositoryはPersistenceExceptionTranslationPostProcessorによってJPA例外をSpring例外に変換します。
@Autowiredの解決プロセス
@Autowiredは以下の順序で解決されます。
- 型による候補抽出
- @Qualifierによる絞り込み
- 名前による解決

解決できない場合、コンテナ起動時に例外が発生します。
5. Webレイヤーにおけるアノテーションの処理フロー
DispatcherServletの役割

@RestController
@RestControllerは以下の合成アノテーションです。

戻り値はHttpMessageConverterによってJSONなどに変換されます。
6. DI設計を誤った場合に起きる問題
・Service間の循環依存
・巨大Serviceクラスの発生
・Bean依存関係の可視性低下
・単体テストが困難になる
Springは制約が少ないため、設計原則を意識しないと構造が崩れやすくなります。
Springとは、IoCコンテナを中心にJavaアプリの構造そのものを制御するフレームワークです。アノテーションは単なる設定の省略ではなく、Bean定義・依存解決・Web処理フローと密接に結びついています。Springを実務で安定して運用するためには、アノテーションの使い方だけでなく、その背後にある内部構造と処理順序を理解することが不可欠です。
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