×

SaaS向けユーザー認証を実装する:JWT と OAuth 2.0 をコード付きで徹底比較

SaaS(Software as a Service)モデルにおいて、ユーザー認証は単なるログイン機能にとどまらず、セキュリティ・スケーラビリティ・ユーザー体験のすべてに関わる中核要素です。API連携やマイクロサービス化が進む現在、認証方式の選定はサービス価値そのものを左右します。特に注目されるのが、軽量で高速な「JWT(JSON Web Token)」と、柔軟な権限管理が可能な「OAuth 2.0」です。本記事では、SaaS環境での実装を想定し、この2つの方式の違いと使い分けをコード例とともに解説します。

 2025年11月05日

SaaS(Software as a Service)モデルにおいて、ユーザー認証は単なるログイン機能にとどまらず、セキュリティ・スケーラビリティ・ユーザー体験のすべてに関わる中核要素です。API連携やマイクロサービス化が進む現在、認証方式の選定はサービス価値そのものを左右します。特に注目されるのが、軽量で高速な「JWT(JSON Web Token)」と、柔軟な権限管理が可能な「OAuth 2.0」です。本記事では、SaaS環境での実装を想定し、この2つの方式の違いと使い分けをコード例とともに解説します。

1. SaaSとユーザー認証の重要性

SaaS(Software as a Service)モデルでは、マルチテナント、API中心、スケーラビリティ、外部連携などが求められます。その中で「ユーザー認証/認可」の設計は、サービスの信頼性や運用効率、セキュリティ体制に直結します。特に「トークンベース認証」「外部サービス連携」「モバイル/Webクライアント対応」などが増える中、どの認証方式を採るかは重要な選択です。

 

2. JWT(JSON Web Token)とは何か?

5 bước đơn giản để hiểu về JWT (JSON Web Tokens)

JSON Web Token(JWT)は、ユーザーやクライアントに関するクレーム(claims)を含んだ自己完結型トークンを、署名(および必要なら暗号化)してクライアント-サーバ間でやりとりする方式です。例えば、ヘッダ/ペイロード/署名という三部構成で構成されます。

 

JWTの主な特長は次の通りです。

・ステートレスでサーバ側にセッション情報を持たずに済むため、スケーラビリティに優れる。 

・クレームにユーザーID、ロール、有効期限など埋め込めるため、API認証・マイクロサービス間通信に適している。 

 

しかし一方で、次のような注意点もあります。

・発行後のトークン取り消し(リボーク)が仕組みとして組みにくい(有効期限切れまで有効という前提が多い)。 

・クライアント側保管(localStorageなど)ではXSS・CSRFのリスク管理が必要。

・ペイロードに敏感情報を入れてはいけない(暗号化されていない限り閲覧可能)。

3. OAuth 2.0とは何か?

OAuth 2.0 authorization with Microsoft Entra ID - Microsoft Entra |  Microsoft Learn

OAuth 2.0は、第三者アプリケーションがユーザーのリソースに「限定的にアクセスを許可」するための認可フレームワークであり、認証そのものを目的とするプロトコルではありません。 OAuth 2.0の主な特徴、

・クライアント、リソースオーナー(ユーザー)、認可サーバ、リソースサーバという役割分担が明確。 

・アクセストークン、リフレッシュトークンなどを使い、スコープ(scope)でアクセス範囲を細かく制御可能。 

・トークンの失効(リボーク)やスコープ制御など、運用・安全管理が比較的手厚い。 

 

ただし、実装構成が複雑になりやすく、小規模なシステムには過剰になる場合もあります。

4. JWT と OAuth 2.0 の比較/使い分けポイント

ここでは「SaaS環境でユーザー認証機能を実装する際に、どちらを選ぶべきか」の観点で整理します。

また、実際には「OAuth 2.0 を使いながらトークン形式に JWT を採用する」ハイブリッド構成が現在の主流です。

 

5. コード付き実装例:SaaSサービスでの認証機能

ここでは実践として、簡略化したコード例を示します。実運用ではライブラリ・セキュリティ設計・エラーハンドリング・HTTPS・キー管理などを必ず考慮してください。

 

JWT認証(Node.js)

 

OAuth 2.0認証

 

このように、OAuth 2.0ではトークン発行・リフレッシュ・スコープ・クライアント管理といった要素が加わります。

 

SaaSにおけるユーザー認証は、サービス規模や連携要件によって最適解が変わります。自社サービス内でのシンプルなログインやAPI通信が中心なら、ステートレスで扱いやすいJWTが有効です。一方、外部連携や第三者アプリの認可、スコープ制御などが必要な場合は、OAuth 2.0を採用し、そのトークン形式としてJWTを組み合わせるのが理想的です。重要なのは、技術選定を「安全性・運用性・拡張性」という3つの観点から総合的に判断することです。最終的には、サービスの信頼性を高め、ユーザー体験を向上させる認証設計を目指しましょう。

いずれかのサービスについてアドバイスが必要な場合は、お問い合わせください。
  • オフショア開発
  • エンジニア人材派遣
  • ラボ開発
  • ソフトウェアテスト
※以下通り弊社の連絡先
電話番号: (+84)2462 900 388
メール: contact@hachinet.com
お電話でのご相談/お申し込み等、お気軽にご連絡くださいませ。
無料見積もりはこちらから

Tags

ご質問がある場合、またはハチネットに協力する場合
こちらに情報を残してください。折り返しご連絡いたします。

 Message is sending ...

関連記事

 2025年10月29日

SaaSスケーラビリティ完全ガイド:負荷急増にも強い設計と運用のベストプラクティス

SaaSは、今やあらゆる業界のビジネスインフラを支える存在となりました。しかし、ユーザー数やデータ量が増えるにつれて、「システムが重くなる」「ピーク時に処理が追いつかない」といった課題に直面する企業も少なくありません。こうした課題を根本から解決するカギが、“スケーラビリティ設計”です。本記事では、長年にわたりITとクラウド技術の進化を見つめてきた筆者が、SaaSを安定的に成長させるための負荷対策と自動スケーリングのベストプラクティスを、わかりやすく解説します。

 2025年10月27日

SaaS開発におけるスケーラビリティ設計:負荷対策と自動スケーリングのベストプラクティス

SaaS(Software as a Service)は、利用者数の増加やデータ量の拡大に応じて、柔軟にリソースを拡張できることが求められます。スケーラビリティの設計が不十分だと、アクセス集中によるパフォーマンス低下やシステム障害が発生し、顧客満足度を大きく損なう可能性があります。本記事では、SaaS開発の現場で実践されている負荷対策と自動スケーリングのベストプラクティスを整理します。

 2025年10月23日

SaaS開発の基本アーキテクチャ:マルチテナント vs シングルテナントの選び方

SaaS(Software as a Service)は、ソフトウェアをクラウド上で提供し、ユーザーがインストールやメンテナンスを行うことなく利用できる形態として、多くの企業や開発者に選ばれています。そのSaaSを支える根幹がアーキテクチャ設計であり、特に「マルチテナント」と「シングルテナント」という2つの構成の違いが、コスト効率・セキュリティ・拡張性に大きな影響を与えます。この記事では、それぞれの特徴とメリット・デメリットを整理し、SaaS開発においてどちらの構成を選ぶべきかをわかりやすく解説します。

 2025年10月22日

SaaS開発とは?オンプレミスとの違いと、今SaaSが選ばれる理由【初心者向け】

近年、ビジネスの現場では「SaaS(サース)」という言葉を耳にする機会が急増しています。業務システムを自社サーバーに構築する従来型の「オンプレミス」とは異なり、SaaSはインターネット経由で必要なソフトウェアを手軽に利用できるクラウド型サービスです。導入のしやすさやコストの低さ、常に最新の状態で使える利便性から、今や中小企業から大手企業まで幅広く導入が進んでいます。また、こうしたサービスを利用するだけでなく、自社で開発・提供する「SaaS開発」も注目されており、スタートアップやIT事業者にとって大きなビジネスチャンスとなっています。本記事では、SaaSとは何か、そのメリットやオンプレミスとの違い、そしてSaaS開発がなぜ今選ばれているのかを初心者向けにわかりやすく解説していきます。

 2025年10月21日

【2025年最新版】アプリとWebの違いと今後の融合トレンドとは?

スマートフォンやパソコンを使う中で、私たちは日常的に「アプリ」や「Webサイト(Webアプリ)」に触れています。一見するとどちらも似たように感じられるかもしれませんが、技術的な仕組みやユーザー体験には明確な違いがあります。しかし、近年の技術進化により、その境界線は急速に曖昧になりつつあります。本記事では、アプリとWebの基本的な違いを整理しながら、2025年以降に加速すると予想される「融合」の流れ、そしてSuper AppやAI UIといった次世代のユーザー体験の展望について、わかりやすく解説します。

 2025年10月16日

アプリとWebの違いを知らないと損?成功するチーム構成と必要スキルとは

アプリとWebのサービスは、私たちの日常に深く関わっていますが、実際の開発現場ではその構造や進め方、求められるスキル、チーム構成に大きな違いがあります。本記事では、「アプリとWebの違い」というテーマを中心に、それぞれの開発プロセスや必要な職種・スキル、チーム編成の変化についてわかりやすく解説します。これから開発を始める方、チーム構成を見直したい方にとって、実践的な視点を提供します。

 2025年10月16日

アプリとWebアプリの違いを徹底比較!できること・できないことを技術視点で解説

現代のWeb技術の進化により、アプリとWebアプリの違いは「見た目」だけでは判断できないほどに接近しています。しかし、内部の仕組みや利用できる機能には明確な違いがあり、目的や要件に応じた適切な技術選定がますます重要になっています。本記事では、エンジニア視点から「アプリとWebアプリの技術的な違い」に焦点を当て、Webアプリで“できること”と“できないこと”を具体的に解説します。PWAなどの最新技術にも触れながら、Webアプリの可能性と限界を正しく理解する手助けとなる内容をお届けします。

 2025年10月15日

名刺管理の常識を変える。AIクラウドツールBoxCardでビジネスを加速

商談やイベントのたびに名刺が増えていく──それは人脈が広がる喜びである一方、管理の負担でもあります。必要な名刺がすぐ見つからない、入力に時間がかかる、そんな小さな非効率が積み重なると、ビジネス全体のスピードを鈍らせます。BoxCardは、AIによる自動スキャンとクラウド保存で、この「名刺管理の手間」を根本から解消するために生まれた次世代ツールです。撮影するだけで正確なデータ化と自動整理を実現し、忙しいビジネスパーソンの時間を取り戻します。紙の名刺を“活用できるデータ資産”へ変える、それがBoxCardの使命です。

 2025年10月15日

従来の名刺管理ツールを超える──BoxCardが選ばれる理由

営業先や展示会で名刺をもらっても、後から「どこに置いたっけ?」と探す時間がかかる──そんな経験はありませんか。名刺管理はシンプルな作業に見えて、実は多くのビジネスパーソンが抱える生産性の落とし穴です。BoxCardは、その課題を根本から解決するために生まれた次世代の名刺管理ツールです。AIによる高精度スキャンと自動整理機能で、もらった名刺を“データ資産”としてクラウドに安全に保管。入力も整理も不要、数秒で検索できる名刺管理の新しい形を提供します。ビジネスのスピードを落とさない、あなた専用のスマート管理パートナー。それが当社のBoxCardです。

 2025年10月10日

WebアプリでよくあるUX失敗とは?デバイス対応の落とし穴と解決法を徹底解説

近年、Webアプリの利用が急速に拡大し、スマートフォンやタブレットなど多様なデバイスからのアクセスが当たり前になっています。一方で、ネイティブアプリと比較すると、Webアプリはデバイス固有の機能や操作性を十分に活かしにくく、UX(ユーザーエクスペリエンス)設計が難しい面があります。本記事では、「アプリ web 違い」を踏まえつつ、特にWebアプリで陥りやすいUXの失敗例を紹介し、具体的な回避策を解説します。ユーザー視点に立ったUX改善のヒントをお届けし、モバイルUXの質を高めるためのポイントを押さえましょう。