デスクトップアプリ開発とクロスプラットフォーム対応:QtとFlutter Desktopの魅力とは?
スマートフォン全盛の時代とはいえ、デスクトップアプリは今なお多くの分野で重要な役割を担っています。業務効率化や高機能な操作が求められる現場では、キーボードとマウスを活かせるデスクトップ環境が欠かせません。そして、最近注目されているのが「クロスプラットフォーム対応」という考え方。一つのコードでWindows・macOS・Linuxに対応できる技術として、QtやFlutter Desktopが急速に広がっています。本記事では、詳しく解説していきます。
2025年09月08日
スマートフォン全盛の時代とはいえ、デスクトップアプリは今なお多くの分野で重要な役割を担っています。業務効率化や高機能な操作が求められる現場では、キーボードとマウスを活かせるデスクトップ環境が欠かせません。そして、最近注目されているのが「クロスプラットフォーム対応」という考え方。一つのコードでWindows・macOS・Linuxに対応できる技術として、QtやFlutter Desktopが急速に広がっています。本記事では、詳しく解説していきます。
1. デスクトップアプリとは?その魅力を再認識
普段スマホばかり使っていると忘れがちですが、デスクトップアプリにはまだまだ大きな価値があります。とくに作業効率を重視する現場では、やはり「マウスとキーボードでの操作」「複数ウィンドウ対応」「大画面でのUI展開」など、デスクトップ特有の強みが光ります。
加えて、処理能力や拡張性の面でもデスクトップ環境は有利。開発者ツール、金融業務アプリ、映像処理ソフトなどは、今もなおネイティブアプリが主流です。
2. クロスプラットフォーム時代の到来
ひと昔前なら「Windows版を作って、次にMac版、それからLinuxも…」とプラットフォームごとに別開発が当たり前でした。
しかし今では、「一つのコードベースで全OS対応」が現実のものに。開発・テスト・デプロイが大幅に楽になり、スタートアップや少人数開発でもクオリティの高いアプリが作れる時代になりました。
それを支えるのが、QtやFlutter Desktopといったクロスプラットフォーム技術です。
3. Qtとは?老舗ならではの信頼感
Qt(キュート)は、C++で構築されたクロスプラットフォームUIフレームワークで、業界では20年以上の実績を持ちます。

GUI開発の中では「王道」とも言える存在で、自動車メーカー・医療機器・産業機器などにも多く導入されています。
特徴的なのは:
・ネイティブライクなパフォーマンス:描画やレスポンスが高速
・OSごとの違いを抽象化:同じコードでも各OSに馴染むUIが実現
・大規模開発への対応力:モジュール設計や国際化なども標準対応
GUI設計ツール(Qt Designer)の併用も可能
ややC++の知識が求められますが、そのぶん細かなチューニングやパフォーマンス管理が可能です。
4. Flutter Desktopとは?Google製の新星

Flutterと聞いてピンとくるのは、モバイルアプリ開発。でも今やFlutterは、デスクトップ・Web・組み込みにまで広がる、真のマルチプラットフォームフレームワークです。
Flutter Desktopは比較的新しい技術ですが、Google自身も使っており、UI表現の自由度と開発スピードの両立が大きな魅力です。
主な利点は:
・1つのコードで3 OS対応(macOS, Windows, Linux)
・Dart言語によるシンプルな文法
・ホットリロード対応でリアルタイムUI確認が可能
・豊富なWidgetとアニメーション制御
個人開発、プロトタイプ、Webサービス連携にも強く、今後の成長が非常に楽しみな技術です。
5. Qt vs Flutter Desktop:どちらを選ぶ?
目的に応じて、どちらを使うべきか判断する必要があります。以下に整理してみました。

要するに:
・企業向けで信頼性・安定性を重視するならQt
・スピードやUI表現を優先したいならFlutter Desktop
という選び方が基本になります。
6. 実務経験からのリアルな活用シーン
実際に私が関わった現場でも、両者を使い分けてきました。
・Qt導入事例:
大手製造業の監視制御システム(SCADA)でQtを導入。10年以上安定稼働し、定期的なアップデートにも柔軟に対応。UIが変わってもロジック資産はそのまま活用できるのが非常に大きな利点でした。
・Flutter Desktop導入事例:
自社開発のSaaS管理ツールをFlutterで試作。1ヶ月足らずでUI付きの動作デモを作成でき、営業資料としても活躍。リリースまでのスピード感はFlutterが圧倒的でした。
どちらも「得意なフィールド」があるからこそ、目的に応じた選定が重要になります。
7. 今後の展望とおすすめ
デスクトップアプリの世界は決して古くありません。むしろ今、クロスプラットフォーム化・クラウド連携・UIの進化により、再び注目を集めていると感じます。
QtもFlutterも進化を続けており、今後さらに開発者フレンドリーで、保守しやすいフレームワークになっていくでしょう。
おすすめ:
・安定した長期プロダクト → Qt
・短期間で成果を出したいPoCや新規開発 → Flutter Desktop
両方を「道具」として使いこなすことが、エンジニアとしての選択肢を広げてくれます。
デスクトップアプリ開発は、今も進化し続ける分野です。特にQtやFlutter Desktopのようなクロスプラットフォームフレームワークの登場により、少ないリソースで高品質なアプリを効率よく開発できるようになりました。どちらの技術も一長一短がありますが、大切なのはプロジェクトの目的に合った選択をすること。業務向けの安定性を重視するならQt、スピードとUI表現を求めるならFlutter Desktopがおすすめです。今後の開発現場でも、この2つのツールはますます活躍の場を広げていくことでしょう。
- オフショア開発
- エンジニア人材派遣
- ラボ開発
- ソフトウェアテスト
電話番号: (+84)2462 900 388
メール: contact@hachinet.com
お電話でのご相談/お申し込み等、お気軽にご連絡くださいませ。
無料見積もりはこちらから
Tags
ご質問がある場合、またはハチネットに協力する場合
こちらに情報を残してください。折り返しご連絡いたします。
関連記事
Microsoft Visual Basic から C# へ本気で移行したい開発者のための徹底比較ガイド
長年 .NET 開発で活躍してきた Microsoft Visual Basic は、今なお多くの企業システムで利用され続けています。しかし近年、開発者の間では C# への移行を検討する動きが確実に広がっています。C# はフレームワークの更新や技術トレンドとの相性がよく、新規プロジェクトでも採用されることが圧倒的に多い言語です。本記事では、Visual Basic と C# の違いを総合的に比較し、移行のための実践的なポイントとスムーズに学習を進めるためのロードマップを詳しく解説します。
「Visual Basicって何?」を一気に解決。はじめての人でも理解できる最短解説
プログラミングを学びたいけれど、難しそうで最初の一歩が踏み出せない。そんな人に長年支持されてきた言語の一つがMicrosoft Visual Basicです。名前は聞いたことがあっても、どんな言語なのか詳しくは知らないという方も少なくありません。本記事では、IT知識がなくても理解できるよう、Visual Basicの成り立ち、目的、特徴をやさしく解説します。
2025年版:SaaS開発に強いフレームワーク&ライブラリ10選|失敗しない技術選定ガイド
SaaS開発では「長期運用に耐える技術選定」が成功を左右します。私は30年以上IT分野を見てきましたが、保守性不足やスケール不能など、技術選定の失敗がサービス成長を止める例を数多く見てきました。本記事では、2025年時点で信頼でき、SaaS特有の要件(マルチテナント・スケーラビリティ・運用性・UI/UX・課金基盤)に強いフレームワーク&ライブラリ10選を厳選し、SaaS立ち上げや既存サービスのSaaS化に役立つ“失敗しない選定のヒント”をまとめています。
ノーコードSaaS vs フルスクラッチ開発:企業に最適な開発モデルを選ぶための費用と自由度の徹底比較
企業がITシステムを導入・開発する際、ノーコードSaaSとフルスクラッチ開発のどちらを選択するかは重要な決断です。これらはそれぞれ異なるメリットとデメリットを持ち、企業の規模、予算、ニーズに応じて最適な選択が求められます。本記事では、両者の違い、選び方のポイントを比較し、企業に最適な開発モデルを見つけるための手助けをします。
SaaS開発を加速せよ!DevOpsとCI/CDパイプラインで実現する高速リリース戦略
今回は「SaaS(Software as a Service)サービスを支えるDevOps/CI/CDパイプライン」をテーマに、ブログ形式で分かりやすく解説します。専門用語も出てきますが、できるだけ実践的な視点で書きますので、マーケター、コンテンツ制作者、あるいはSaaSプロダクトを持つビジネスオーナーの方にも役立つ内容です。
SaaS向けユーザー認証を実装する:JWT と OAuth 2.0 をコード付きで徹底比較
SaaS(Software as a Service)モデルにおいて、ユーザー認証は単なるログイン機能にとどまらず、セキュリティ・スケーラビリティ・ユーザー体験のすべてに関わる中核要素です。API連携やマイクロサービス化が進む現在、認証方式の選定はサービス価値そのものを左右します。特に注目されるのが、軽量で高速な「JWT(JSON Web Token)」と、柔軟な権限管理が可能な「OAuth 2.0」です。本記事では、SaaS環境での実装を想定し、この2つの方式の違いと使い分けをコード例とともに解説します。
SaaSスケーラビリティ完全ガイド:負荷急増にも強い設計と運用のベストプラクティス
SaaSは、今やあらゆる業界のビジネスインフラを支える存在となりました。しかし、ユーザー数やデータ量が増えるにつれて、「システムが重くなる」「ピーク時に処理が追いつかない」といった課題に直面する企業も少なくありません。こうした課題を根本から解決するカギが、“スケーラビリティ設計”です。本記事では、長年にわたりITとクラウド技術の進化を見つめてきた筆者が、SaaSを安定的に成長させるための負荷対策と自動スケーリングのベストプラクティスを、わかりやすく解説します。
SaaS開発におけるスケーラビリティ設計:負荷対策と自動スケーリングのベストプラクティス
SaaS(Software as a Service)は、利用者数の増加やデータ量の拡大に応じて、柔軟にリソースを拡張できることが求められます。スケーラビリティの設計が不十分だと、アクセス集中によるパフォーマンス低下やシステム障害が発生し、顧客満足度を大きく損なう可能性があります。本記事では、SaaS開発の現場で実践されている負荷対策と自動スケーリングのベストプラクティスを整理します。
SaaS開発の基本アーキテクチャ:マルチテナント vs シングルテナントの選び方
SaaS(Software as a Service)は、ソフトウェアをクラウド上で提供し、ユーザーがインストールやメンテナンスを行うことなく利用できる形態として、多くの企業や開発者に選ばれています。そのSaaSを支える根幹がアーキテクチャ設計であり、特に「マルチテナント」と「シングルテナント」という2つの構成の違いが、コスト効率・セキュリティ・拡張性に大きな影響を与えます。この記事では、それぞれの特徴とメリット・デメリットを整理し、SaaS開発においてどちらの構成を選ぶべきかをわかりやすく解説します。
SaaS開発とは?オンプレミスとの違いと、今SaaSが選ばれる理由【初心者向け】
近年、ビジネスの現場では「SaaS(サース)」という言葉を耳にする機会が急増しています。業務システムを自社サーバーに構築する従来型の「オンプレミス」とは異なり、SaaSはインターネット経由で必要なソフトウェアを手軽に利用できるクラウド型サービスです。導入のしやすさやコストの低さ、常に最新の状態で使える利便性から、今や中小企業から大手企業まで幅広く導入が進んでいます。また、こうしたサービスを利用するだけでなく、自社で開発・提供する「SaaS開発」も注目されており、スタートアップやIT事業者にとって大きなビジネスチャンスとなっています。本記事では、SaaSとは何か、そのメリットやオンプレミスとの違い、そしてSaaS開発がなぜ今選ばれているのかを初心者向けにわかりやすく解説していきます。
