×

Microsoft Visual Basicはなぜ企業で生き残り続けるのか──今も稼働する10の業務アプリケーション

最新技術がどれほど進化しても、業務の根幹を支えるレガシーシステムは簡単には消えないということです。その象徴がMicrosoft Visual Basic(VB)です。登場から数十年が経っても、未だ多くの企業が日常業務をVBに委ねています。なぜこの古く見える技術が生き残り続けるのか。その背景には「使いやすさ」「コスト」「現場への最適化」という、現実的で合理的な理由が存在します。本記事では、VBが支え続けている10の業務アプリ領域を深掘りしながら、企業ITにおけるVBの現在地と未来を見つめていきます。

 2025年12月01日

最新技術がどれほど進化しても、業務の根幹を支えるレガシーシステムは簡単には消えないということです。その象徴がMicrosoft Visual Basic(VB)です。登場から数十年が経っても、未だ多くの企業が日常業務をVBに委ねています。なぜこの古く見える技術が生き残り続けるのか。その背景には「使いやすさ」「コスト」「現場への最適化」という、現実的で合理的な理由が存在します。本記事では、VBが支え続けている10の業務アプリ領域を深掘りしながら、企業ITにおけるVBの現在地と未来を見つめていきます。

1. Microsoft Visual Basicが現代企業で「消えない」理由

IT業界では新しい技術が次々と登場し、「古い技術はすぐに淘汰される」と思われがちです。しかし、企業システムの現場を長年見続けてきた立場から断言できます。Microsoft Visual Basic(VB)は今も確実に“現役”です。

 

特に日本企業では、業務プロセスの歴史的な積み重ねや独自のワークフローが強く、標準化されたパッケージソフトでは対応できないケースが多い。そうした場面で、VBは長年「現場の実務」に寄り添い、確実に成果を出してきました。

 

そのため現在もなお、以下の理由から多くの企業でVBアプリが動き続けています。

 

・開発スピードの速さとシンプルさ

VBは“とにかく作りやすい”。画面設計、データ処理、印刷機能まで素早く作れ、当時の生産性は圧倒的でした。

 

・コストとリスクの観点から移行が難しい

長年運用されたシステムは、仕様が文書化されていないことも多く、全面刷新は大きなリスクを伴います。

 

・限定された利用範囲でも十分に価値を発揮

全社規模でなくても、部門単位の業務ツールとして“あれば困らない”状態が今も続いています。

 

こうした背景から、現在でも多くの企業でVBベースのアプリケーションが静かに、しかし確実に業務を支えています。

 

2. 10個の企業アプリケーション領域──今もVBが動き続ける理由を深掘り

・固定資産・リース資産管理システム

データ量は多くないが、帳票と計算ロジックが複雑。VB特有のフォーム設計と帳票出力のしやすさが、今も評価されています。

 

・在庫・ロット管理などの倉庫系アプリ

中小規模の工場では、ERPでは大げさすぎるケースが多い。VBの軽快な操作性と応答速度は、現場担当者にとって“変えたくない便利さ”があります。

 

・社内レポート生成ツール

データ抽出→整形→印刷という単純だが頻度の高い処理は、VBが最も得意とする領域。メンテナンス性の良さも強み。

VBA講座実践塾 原価管理

・独自計算が必要な小規模会計・原価計算ツール

市販ソフトでは実現できない独自ロジックをVBで構築し、長年使われ続けている“隠れた主力ツール”が今も残っています。

 

・営業・受発注入力システム(Order Entry)

入力画面の使いやすさが重視された時代、VBは最適解の一つでした。当時構築されたシステムは今も現場に深く根付いています。

 

・バッチ処理・ファイル変換などの業務自動化ツール

シンプルな処理を安定して回す、いわゆる“裏方の仕事”はVBの独壇場。置き換えるメリットがほぼないため、今も残りがちです。

 

・社内勤怠管理・工数管理の旧システム

クラウドHRが普及する前に作られたVBアプリは、企業独自のルールを細かく反映していることが多く、刷新のハードルが高い。

 

How To Make A POS System In Visual Basic – Softwareg.com.au

 

・小売店や専門店の旧POSアプリ

安定稼働しているPOSシステムは、入れ替えの継続コストや周辺機器との互換性の問題があるため、VBが残り続ける理由となっています。

 

・設備保守・点検管理システム

設備メーカーごとの点検項目や頻度を細かく設定できるカスタム性が評価され、今でも現場で使われています。

Hello World!” with Excel VBA / a @MisterFoxOnline tutorial

・Excel・Accessと連携した独自ツール

Excel VBAとVBアプリが混在する構成は、最も“企業らしい”形の一つ。実務に特化した小規模自動化ツールは、多くの会社で今も稼働中です。

 

3. VBシステムの未来:残すべきか、移行すべきか

VBを「すぐに捨てる必要はない」ということ。ただし、以下の観点で判断することを強くおすすめします。

・技術者が確保できるか

・仕様書が残っているか

・将来の拡張が必要かどうか

・外部連携(API等)が求められるか

・セキュリティ要件を満たせるか

VBは“悪い技術”ではありません。問題は、業務の変化にどれだけ対応できるかです。企業に最適なのは、「残す部分」と「刷新する部分」を正しく見極めること」。これに尽きます。

 

4. 今後の企業ITとVBの位置づけ

クラウド化とWebシステムが主流になる中でも、Microsoft Visual Basicがすぐに姿を消すことはありません。理由は、企業内には依然として小規模・目的特化型の業務が多く、既存VBシステムを更新するより、継続運用したほうが合理的なケースが多いためです。

 

今後のVBは、

・部門ツールや補助業務のレガシー資産として残る

小規模処理やExcel/Access連携の領域では、今後も安定して使われ続けます。

 

・全面刷新ではなく部分的なリファクタリングが主流になる

UI改善、DB移行など“影響を最小限にする進化”が選ばれやすい傾向です。

 

・人材不足に備え、仕様の可視化が重要になる

保守者減少に対応するため、コード整理やドキュメント化が企業必須となります。

 

・段階的な他言語・クラウド移行が増える

C#、.NET、Webアプリなど、移行しやすい技術へ少しずつシフトする流れが続きます。

 

総じて、VBは“すぐに捨てる技術”ではなく、現場に密着した実務を支えるレガシー基盤として生き続ける存在と言えるでしょう.

 

Microsoft Visual Basicは、単なる“古い技術”ではありません。企業の実務に密着し、現場の課題を迅速に解決してきた歴史そのものです。多くのVBアプリが今も稼働しているのは、機能面や操作性よりも、「業務に完全に適合している」「刷新には大きなリスクとコストが伴う」という現場の現実があるからです。これから企業が検討すべきは、VBを無理に捨てることではなく、どの部分を残し、どの部分を進化させるべきかという冷静な判断です。レガシーを理解し、活かしながら未来のシステム設計へとつなげることこそ、真のDXの第一歩と言えるでしょう。

いずれかのサービスについてアドバイスが必要な場合は、お問い合わせください。
  • オフショア開発
  • エンジニア人材派遣
  • ラボ開発
  • ソフトウェアテスト
※以下通り弊社の連絡先
電話番号: (+84)2462 900 388
メール: contact@hachinet.com
お電話でのご相談/お申し込み等、お気軽にご連絡くださいませ。
無料見積もりはこちらから

Tags

ご質問がある場合、またはハチネットに協力する場合
こちらに情報を残してください。折り返しご連絡いたします。

 Message is sending ...

関連記事

 2025年11月26日

Microsoft Visual Basic でつくる日本式UIデザイン:業務フローの最適化から画面設計、運用まで徹底解説

AI とローコードの普及により技術刷新が求められる一方、日本企業では長年運用されてきた Visual Basic システムが依然として実務の中心にあります。現場フローや日本特有の業務文化に適応し、安定した運用と改善を続けられる点は、最新技術では代替しにくい強みです。本記事では、Visual Basic がなぜ現代でも価値を失わず、日本式UXに適した開発基盤として評価され続けているのかを、現場視点で解説します。

 2025年11月25日

なぜ Microsoft Visual Basic は AI・ローコード時代でも価値を失わないのか:その理由を具体的に解説

AI やローコード開発が急速に広がる現在、既存システムの価値が改めて問われています。特に日本企業で長年利用されてきた Microsoft Visual Basic は、「古い技術」というイメージを持たれがちな一方で、実際には多くの業務システムを安定的に支え続けています。本記事では、Visual Basic がなぜ今の時代でも依然として重要なのか、その具体的な理由を整理し、企業がどのように向き合うべきかを考えていきます。

 2025年11月19日

Microsoft Visual Basic:30年の歩みとともに――なぜ“初心者の国民的言語”と呼ばれたのか

Microsoft Visual Basicは、1991年に誕生してから30年以上にわたり、世界中のプログラミング学習者や業務システム開発の現場で愛されてきました。現在では多様な言語が存在し、開発環境も劇的に変化しましたが、Visual Basicが果たした役割は大きく、特に初心者に門戸を開いたプログラミング言語として歴史に名を残しています。本記事では、その歩みと、なぜVisual Basicが「国民的入門言語」とまで呼ばれたのかを、時代背景とともに丁寧にひも解きます。

 2025年11月11日

SaaS開発者必見!Stripeで始めるサブスク課金システム実装入門:フロントもバックも分かる実践ガイド

SaaSビジネスの根幹は「安定した継続課金」にあります。どれだけ優れたプロダクトでも、請求や決済管理が煩雑だとスケールは難しい。そこで世界的に多くのスタートアップが導入しているのがStripeです。複雑な決済フローをAPIで簡潔に実装でき、フロントエンド・バックエンド双方が扱いやすい設計が魅力です。本稿では、SaaSにおけるStripeを使ったサブスク課金システムの導入方法を、技術とビジネスの両面から紹介します。

 2025年11月10日

成功するSaaSプロダクトには“解約防止戦略”がある:LTV最大化の秘訣をマーケター視点で解説

SaaSビジネスは「契約を獲得すること」よりも「契約を続けてもらうこと」で成長します。顧客が長く利用し、継続的に価値を感じてくれるほどLTV(顧客生涯価値)は高まります。その一方で、解約が多ければ事業はすぐに頭打ちになる。成功するSaaSには必ず、継続を支える明確な解約防止戦略があります。本稿では、その仕組みと実践方法をマーケティング視点でわかりやすく紹介します。

 2025年11月06日

SaaSのUI/UXでユーザーを虜にする3つの心理学的テクニック – 離脱を防ぎ、熱心なファンを育てる設計法

SaaS(Software as a Service)の世界では、機能の多さよりも「どれだけストレスなく、心地よく使えるか」がユーザーの評価を左右します。優れたUI/UXは単なる見た目の美しさではなく、ユーザー心理を理解し、行動を自然に導く“体験設計”の結果です。特に競争が激化する今、ユーザーが「使い続けたい」と感じるプロダクトを作るためには、心理学の知見をUI/UXに取り入れることが欠かせません。本記事では、SaaSのUI/UXでユーザーを虜にする3つの心理学的テクニックを具体例とともに紹介し、なぜそれが離脱を防ぎ、ファン化につながるのかを解説します。

 2025年10月31日

なぜ日本企業のSaaS化は進まないのか?現場文化とレガシーが生む本当の壁

近年、クラウド化やDX(デジタルトランスフォーメーション)が加速する中で、SaaSの導入は企業の生産性を高める有効な手段として注目されています。しかし、日本企業では欧米に比べSaaS化が思うように進まず、「なぜ日本だけ遅れているのか」という議論が続いています。その背景には、単なる技術格差ではなく、長年にわたるレガシーシステムへの依存、稟議や合意形成を重んじる企業文化、そして“現場の声が経営に届きにくい”という構造的課題があります。本記事では、現場のリアルな視点を交えながら、日本企業のSaaS化が進まない理由と、それを乗り越えるための具体的な突破口を探っていきます。