ウォーターフォール×アジャイルの融合:2025年型ハイブリッド開発とは?
長らく「古い開発モデル」として見られてきたウォーターフォールモデル。しかし、現実の現場では未だに多くの企業がこのモデルを採用し続けています。特に大規模プロジェクトや、金融・医療・公共系のシステム開発では、その構造化された進行と明確なドキュメント管理が重視されています。一方、アジャイル開発は「スピードと柔軟性」を重視する現代的な手法として広がりを見せましたが、管理や品質面での課題が浮き彫りになる場面もあります。そのような背景から、今業界で注目されているのが「ハイブリッド開発」。
2025年07月09日
長らく「古い開発モデル」として見られてきたウォーターフォールモデル。しかし、現実の現場では未だに多くの企業がこのモデルを採用し続けています。特に大規模プロジェクトや、金融・医療・公共系のシステム開発では、その構造化された進行と明確なドキュメント管理が重視されています。一方、アジャイル開発は「スピードと柔軟性」を重視する現代的な手法として広がりを見せましたが、管理や品質面での課題が浮き彫りになる場面もあります。そのような背景から、今業界で注目されているのが「ハイブリッド開発」。
1.ハイブリッド開発とは?定義と誕生の背景
「ハイブリッド開発」とは、ウォーターフォールモデルの計画性と文書管理の強み、そしてアジャイル開発の反復性と柔軟性を組み合わせた手法です。
例えばこんな状況に適しています。
・初期要件は明確だが、後半の仕様変更も起こりうる
・顧客との合意形成が必要な部分と、試行錯誤が許される部分が混在
・開発部門と営業部門が協力して動く必要がある
このように、プロジェクトの性質に応じて手法を切り替える柔軟性がハイブリッドの本質です。
2.なぜ今、ハイブリッドが注目されるのか
・DX化による複雑な要件の増加
社内外のシステムがクラウド化・API連携・データ連携を求められる中、開発スピードと品質管理の両立が不可欠です。
・ステークホルダーの多様化
顧客、営業、法務、セキュリティ、開発など多くの部門が関与する現代のプロジェクトでは、「共通言語」としてのドキュメントが重要視されます(=ウォーターフォールの役割)。
・アジャイル「疲れ」への反動
すべてをアジャイルで進めた結果、「要件が固まらない」「方向性が頻繁に変わる」などの課題を経験した企業が、再び計画性と安定性を求める動きも増えています。
3. ハイブリッド開発の代表的なモデル
このように、状況に応じて柔軟にカスタマイズできるのがハイブリッドの最大の利点です。

4. ハイブリッド導入のメリット・デメリット
メリット
・要件確定時の安心感と予算コントロール
・仕様変更への柔軟な対応
・全社的な関係者と情報共有しやすい
デメリット
・手法が混在することで、開発チーム内での混乱が起きやすい
・PMの設計力と意思決定力が求められる
・工程間の“責任の境界”が曖昧になりがち
これらの課題は、「標準プロセスの整備」と「ツール統一」によって軽減可能です。
5. ハイブリッド開発を導入する際の注意点とベストプラクティス
・初期段階で「このプロジェクトはどのモデルを使うか」を明確にする
・要件管理にはJIRA + Confluenceなどのツールを活用
・各フェーズの間で「チェックポイント」を設け、手法の切り替えを明確化
・KPI・進捗の可視化(CPI/SPIなど)で混乱を防ぐ
・各チームに1名ずつハイブリッド理解者(ハイブリッドPM)を配置
2025年の開発現場においては、ウォーターフォールとアジャイルのどちらかを“正解”とする考え方はもはや時代遅れです。現代では、プロジェクトの性質に応じて最適な方法を選ぶ=ハイブリッド思考が求められます。ウォーターフォールの堅牢さ、アジャイルの柔軟さ。その両方を知り、使いこなすことこそが、これからの開発現場での成功の鍵となるでしょう。
- オフショア開発
- エンジニア人材派遣
- ラボ開発
- ソフトウェアテスト
電話番号: (+84)2462 900 388
メール: contact@hachinet.com
お電話でのご相談/お申し込み等、お気軽にご連絡くださいませ。
無料見積もりはこちらから
Tags
ご質問がある場合、またはハチネットに協力する場合
こちらに情報を残してください。折り返しご連絡いたします。
関連記事
2025年版:SaaS開発に強いフレームワーク&ライブラリ10選|失敗しない技術選定ガイド
SaaS開発では「長期運用に耐える技術選定」が成功を左右します。私は30年以上IT分野を見てきましたが、保守性不足やスケール不能など、技術選定の失敗がサービス成長を止める例を数多く見てきました。本記事では、2025年時点で信頼でき、SaaS特有の要件(マルチテナント・スケーラビリティ・運用性・UI/UX・課金基盤)に強いフレームワーク&ライブラリ10選を厳選し、SaaS立ち上げや既存サービスのSaaS化に役立つ“失敗しない選定のヒント”をまとめています。
ノーコードSaaS vs フルスクラッチ開発:企業に最適な開発モデルを選ぶための費用と自由度の徹底比較
企業がITシステムを導入・開発する際、ノーコードSaaSとフルスクラッチ開発のどちらを選択するかは重要な決断です。これらはそれぞれ異なるメリットとデメリットを持ち、企業の規模、予算、ニーズに応じて最適な選択が求められます。本記事では、両者の違い、選び方のポイントを比較し、企業に最適な開発モデルを見つけるための手助けをします。
SaaS開発を加速せよ!DevOpsとCI/CDパイプラインで実現する高速リリース戦略
今回は「SaaS(Software as a Service)サービスを支えるDevOps/CI/CDパイプライン」をテーマに、ブログ形式で分かりやすく解説します。専門用語も出てきますが、できるだけ実践的な視点で書きますので、マーケター、コンテンツ制作者、あるいはSaaSプロダクトを持つビジネスオーナーの方にも役立つ内容です。
SaaS向けユーザー認証を実装する:JWT と OAuth 2.0 をコード付きで徹底比較
SaaS(Software as a Service)モデルにおいて、ユーザー認証は単なるログイン機能にとどまらず、セキュリティ・スケーラビリティ・ユーザー体験のすべてに関わる中核要素です。API連携やマイクロサービス化が進む現在、認証方式の選定はサービス価値そのものを左右します。特に注目されるのが、軽量で高速な「JWT(JSON Web Token)」と、柔軟な権限管理が可能な「OAuth 2.0」です。本記事では、SaaS環境での実装を想定し、この2つの方式の違いと使い分けをコード例とともに解説します。
SaaSスケーラビリティ完全ガイド:負荷急増にも強い設計と運用のベストプラクティス
SaaSは、今やあらゆる業界のビジネスインフラを支える存在となりました。しかし、ユーザー数やデータ量が増えるにつれて、「システムが重くなる」「ピーク時に処理が追いつかない」といった課題に直面する企業も少なくありません。こうした課題を根本から解決するカギが、“スケーラビリティ設計”です。本記事では、長年にわたりITとクラウド技術の進化を見つめてきた筆者が、SaaSを安定的に成長させるための負荷対策と自動スケーリングのベストプラクティスを、わかりやすく解説します。
SaaS開発におけるスケーラビリティ設計:負荷対策と自動スケーリングのベストプラクティス
SaaS(Software as a Service)は、利用者数の増加やデータ量の拡大に応じて、柔軟にリソースを拡張できることが求められます。スケーラビリティの設計が不十分だと、アクセス集中によるパフォーマンス低下やシステム障害が発生し、顧客満足度を大きく損なう可能性があります。本記事では、SaaS開発の現場で実践されている負荷対策と自動スケーリングのベストプラクティスを整理します。
SaaS開発の基本アーキテクチャ:マルチテナント vs シングルテナントの選び方
SaaS(Software as a Service)は、ソフトウェアをクラウド上で提供し、ユーザーがインストールやメンテナンスを行うことなく利用できる形態として、多くの企業や開発者に選ばれています。そのSaaSを支える根幹がアーキテクチャ設計であり、特に「マルチテナント」と「シングルテナント」という2つの構成の違いが、コスト効率・セキュリティ・拡張性に大きな影響を与えます。この記事では、それぞれの特徴とメリット・デメリットを整理し、SaaS開発においてどちらの構成を選ぶべきかをわかりやすく解説します。
SaaS開発とは?オンプレミスとの違いと、今SaaSが選ばれる理由【初心者向け】
近年、ビジネスの現場では「SaaS(サース)」という言葉を耳にする機会が急増しています。業務システムを自社サーバーに構築する従来型の「オンプレミス」とは異なり、SaaSはインターネット経由で必要なソフトウェアを手軽に利用できるクラウド型サービスです。導入のしやすさやコストの低さ、常に最新の状態で使える利便性から、今や中小企業から大手企業まで幅広く導入が進んでいます。また、こうしたサービスを利用するだけでなく、自社で開発・提供する「SaaS開発」も注目されており、スタートアップやIT事業者にとって大きなビジネスチャンスとなっています。本記事では、SaaSとは何か、そのメリットやオンプレミスとの違い、そしてSaaS開発がなぜ今選ばれているのかを初心者向けにわかりやすく解説していきます。
【2025年最新版】アプリとWebの違いと今後の融合トレンドとは?
スマートフォンやパソコンを使う中で、私たちは日常的に「アプリ」や「Webサイト(Webアプリ)」に触れています。一見するとどちらも似たように感じられるかもしれませんが、技術的な仕組みやユーザー体験には明確な違いがあります。しかし、近年の技術進化により、その境界線は急速に曖昧になりつつあります。本記事では、アプリとWebの基本的な違いを整理しながら、2025年以降に加速すると予想される「融合」の流れ、そしてSuper AppやAI UIといった次世代のユーザー体験の展望について、わかりやすく解説します。
アプリとWebの違いを知らないと損?成功するチーム構成と必要スキルとは
アプリとWebのサービスは、私たちの日常に深く関わっていますが、実際の開発現場ではその構造や進め方、求められるスキル、チーム構成に大きな違いがあります。本記事では、「アプリとWebの違い」というテーマを中心に、それぞれの開発プロセスや必要な職種・スキル、チーム編成の変化についてわかりやすく解説します。これから開発を始める方、チーム構成を見直したい方にとって、実践的な視点を提供します。
アプリとWebアプリの違いを徹底比較!できること・できないことを技術視点で解説
現代のWeb技術の進化により、アプリとWebアプリの違いは「見た目」だけでは判断できないほどに接近しています。しかし、内部の仕組みや利用できる機能には明確な違いがあり、目的や要件に応じた適切な技術選定がますます重要になっています。本記事では、エンジニア視点から「アプリとWebアプリの技術的な違い」に焦点を当て、Webアプリで“できること”と“できないこと”を具体的に解説します。PWAなどの最新技術にも触れながら、Webアプリの可能性と限界を正しく理解する手助けとなる内容をお届けします。
