DNSトンネリングとは?攻撃の仕組み・実例・検出法・対策まで最新解説
インターネットの基盤であるDNSを悪用した「DNSトンネリング」は、近年増加している巧妙なサイバー攻撃の一種です。通常のDNS通信に偽装して、マルウェアの遠隔操作や機密情報の外部送信が行われるため、検出が困難です。本記事では、その仕組みや攻撃例、検出方法、効果的な対策について最新情報を交えてわかりやすく解説します。
2025年05月28日

インターネットの基盤であるDNSを悪用した「DNSトンネリング」は、近年増加している巧妙なサイバー攻撃の一種です。通常のDNS通信に偽装して、マルウェアの遠隔操作や機密情報の外部送信が行われるため、検出が困難です。本記事では、その仕組みや攻撃例、検出方法、効果的な対策について最新情報を交えてわかりやすく解説します。
1.DNSトンネリングとは?
DNS(Domain Name System)は、インターネット上でドメイン名とIPアドレスを変換する仕組みです。たとえば「example.com」を入力すると、その背後にあるIPアドレスを取得してWebサイトにアクセスします。
DNSトンネリングとは、本来の名前解決機能を悪用し、DNSクエリとレスポンスを使って外部との不正な通信(コマンドの送受信やデータの流出など)を行うサイバー攻撃の一種です。多くの企業や組織のファイアウォールはDNS通信を信頼しており、これが攻撃の盲点となるのです。
2.DNSトンネリングの仕組み
DNSトンネリングは、DNSリクエストとレスポンスを使ってデータ通信を行う不正な手法です。攻撃者は通常、自分が管理する悪意あるDNSサーバーを用意し、次のような流れで通信を行います。
・マルウェアが感染端末からDNSクエリを送信
クエリのドメイン名に、暗号化・エンコードされたデータ(例:盗んだ情報)を埋め込む。
例: abc123.exfil.attacker.com
・DNSクエリは通常の名前解決として外部へ流れる
多くのネットワークではDNSは許可されており、ファイアウォールをバイパスできる。
・攻撃者のDNSサーバーが受信・解析
ドメイン名に含まれるデータをデコードして抽出し、必要ならレスポンスでコマンド(C2通信)を返す。
・感染端末は応答を解析して次の動作を実行
外部との双方向通信が可能になる。
3.DNSトンネリング攻撃の例
Command & Control
マルウェアがDNS経由で外部の攻撃者から命令を受け取る。
・例:cmd123.exec.attacker.com → 攻撃者が実行命令を送信
・特徴:ファイアウォールをすり抜け、長期潜伏が可能
データの外部送信
社内の機密情報やログイン情報などをDNSクエリに分割・エンコードし、外部に送信。
・例:userpass123.data.leak.com
・特徴:通常のトラフィックに紛れて情報が少しずつ抜き取られる
WiFi不正利用とポリシー回避
社内ネットワークで禁止された通信を、DNSトンネルを使って回避。
・例:従業員がYouTubeやVPNをDNS経由で使用
・特徴:ポリシー違反・情報漏洩の温床になる
4.DNSトンネリング攻撃の検出方法
異常なDNSトラフィックの監視
・長すぎるドメイン名や、ランダムな文字列を含むサブドメインを検出
・高頻度なDNSリクエスト(例:1秒間に数十件)に注意
・同一ドメインへの繰り返しアクセスも要警戒
機械学習・AIによる分析
・正常なトラフィックとのパターンの違いをAIで分類
・DoH(DNS over HTTPS)など暗号化通信にも対応可能
・CiscoやInfobloxが提供するAIベースの製品も効果的
DNSログの保存と相関分析
・全DNSクエリをログとして記録
・他のセキュリティイベント(EDR、プロキシログなど)と組み合わせて相関分析を行う
5.DNSトンネリング攻撃への対策方法
DNSトラフィックの可視化とログ監査
・すべてのDNSクエリをログ化し、定期的に分析
・異常なドメイン長、頻度、文字パターンをチェック
DNSフィルタリングとアクセス制御
・既知の悪性ドメイン・DNSサーバーをブロック
・社内端末からの外部DNSへの通信を制限(内部DNSを強制使用)
安全なDNSプロトコルの導入
・DNSSEC:レスポンスの正当性を検証し、改ざんを防ぐ
・DNS over HTTPS (DoH) / DNS over TLS (DoT):通信の盗聴を防止
AI・機械学習ベースの検出ツールの導入
・Cisco Umbrella や Infoblox など、リアルタイム分析と自動対応機能を持つDNSセキュリティ製品の活用
DNSトンネリングは、通常のDNS通信を装って企業ネットワークを狙う高度な攻撃手法です。特に、C&C通信や機密情報の流出といった深刻なリスクを伴います。日常のDNSトラフィックを監視し、AIベースの分析やフィルタリングを導入することで、防御力を大幅に高めることが可能です。組織のセキュリティレベルを維持・向上させるためにも、DNSトンネリングへの理解と対策は不可欠です。
- オフショア開発
- エンジニア人材派遣
- ラボ開発
- ソフトウェアテスト
電話番号: (+84)2462 900 388
メール: contact@hachinet.com
お電話でのご相談/お申し込み等、お気軽にご連絡くださいませ。
無料見積もりはこちらから
Tags
ご質問がある場合、またはハチネットに協力する場合
こちらに情報を残してください。折り返しご連絡いたします。
関連記事

名刺管理の常識を変える。AIクラウドツールBoxCardでビジネスを加速
商談やイベントのたびに名刺が増えていく──それは人脈が広がる喜びである一方、管理の負担でもあります。必要な名刺がすぐ見つからない、入力に時間がかかる、そんな小さな非効率が積み重なると、ビジネス全体のスピードを鈍らせます。BoxCardは、AIによる自動スキャンとクラウド保存で、この「名刺管理の手間」を根本から解消するために生まれた次世代ツールです。撮影するだけで正確なデータ化と自動整理を実現し、忙しいビジネスパーソンの時間を取り戻します。紙の名刺を“活用できるデータ資産”へ変える、それがBoxCardの使命です。

従来の名刺管理ツールを超える──BoxCardが選ばれる理由
営業先や展示会で名刺をもらっても、後から「どこに置いたっけ?」と探す時間がかかる──そんな経験はありませんか。名刺管理はシンプルな作業に見えて、実は多くのビジネスパーソンが抱える生産性の落とし穴です。BoxCardは、その課題を根本から解決するために生まれた次世代の名刺管理ツールです。AIによる高精度スキャンと自動整理機能で、もらった名刺を“データ資産”としてクラウドに安全に保管。入力も整理も不要、数秒で検索できる名刺管理の新しい形を提供します。ビジネスのスピードを落とさない、あなた専用のスマート管理パートナー。それが当社のBoxCardです。

WebアプリでよくあるUX失敗とは?デバイス対応の落とし穴と解決法を徹底解説
近年、Webアプリの利用が急速に拡大し、スマートフォンやタブレットなど多様なデバイスからのアクセスが当たり前になっています。一方で、ネイティブアプリと比較すると、Webアプリはデバイス固有の機能や操作性を十分に活かしにくく、UX(ユーザーエクスペリエンス)設計が難しい面があります。本記事では、「アプリ web 違い」を踏まえつつ、特にWebアプリで陥りやすいUXの失敗例を紹介し、具体的な回避策を解説します。ユーザー視点に立ったUX改善のヒントをお届けし、モバイルUXの質を高めるためのポイントを押さえましょう。

アプリ vs Webアプリ:今選ぶべきはPWA?その違いと最新動向
スマートフォンが日常生活に欠かせない存在となった今、企業や開発者にとって「アプリ」と「Web」のどちらを選ぶべきかという問題は、より重要性を増しています。従来は、リッチな機能や操作性を求めるならネイティブアプリ、手軽さや幅広い対応を重視するならWebという棲み分けが一般的でした。しかし近年では、Web技術の進化とともに登場したPWA(Progressive Web App)により、この境界線が曖昧になりつつあります。本記事では、「アプリ web 違い」という視点から、PWAを含む各技術の特徴、メリット・デメリット、今後の可能性について詳しく解説します。

アプリとWebの違いとは?セキュリティの観点から徹底比較|安全性とリスクを見極める
新しいサービスやシステムを構築する際、「アプリにするべきか、それともWebベースで始めるべきか?」という疑問は多くの企業や開発者に共通するテーマです。特にセキュリティの観点から見ると、両者には設計思想やリスクへの対処法に明確な違いがあります。本記事では、「アプリweb 違い」を中心に、両者の基本的な構造とセキュリティ対策を比較しながら、それぞれの強みと弱点をわかりやすく解説します。安全性・更新性・ユーザー認証などの観点から、どのような場面でどちらを選ぶべきか、実際のユースケースも踏まえて検討していきます。

アプリとWebの違いとは?初心者にもわかる基礎知識を丁寧に解説
スマホやパソコンで日々使っている「アプリ」と「Webサービス」、その違いをご存知でしょうか?見た目や操作は似ていますが、開発方法や機能、使われ方には明確な違いがあります。この記事では、初心者の方にもわかりやすく、「アプリとWebの違い」について基本から丁寧に解説していきます。これからアプリ開発やサービス導入を検討している方にとって、判断の手助けになる内容です。

ゲームβテスト後に成功する“ガチ改善ロードマップ”の作り方|改善点の優先順位とチーム合意形成の秘訣
ゲームβテストは、リリース前にユーザーから実際のプレイフィードバックや行動データを収集し、バグやUIの使い勝手、ゲームバランスの課題を明らかにする重要なフェーズです。しかし、集めたデータや感想をそのまま放置していては意味がありません。テスト後は、改善点の優先順位を明確にし、チーム全員が納得したうえで効率的に対応していくことが求められます。特に、影響度や修正コスト、緊急度を基準に客観的に課題を評価し、Slackなどのコミュニケーションツールを活用した対話を通じて合意形成を図ることが、スムーズな改善プロセスに不可欠です。

ゲームバランス崩壊の前兆は、βテストで現れるのか?バランス設計者とユーザー視点の融合で見抜く兆候
ゲーム開発において「バランス設計」は極めて繊細で難易度の高い作業です。とりわけ、リリース前のβテストは、ユーザー視点を交えてバランス崩壊の兆候を見極める最後のチャンスとも言えます。バグだけでなく、"壊れスキル" や "メタ環境の固定化"、過剰または不親切なUIなど、見逃すと後に致命的となるポイントは数多く存在します。本記事では、バランス設計者の意図と実際のプレイヤー行動とのギャップに注目し、βテスト中に表れるバランス崩壊のサインをどう読み取るべきかを解説します。

海外プレイヤーの反応が“真逆”だった話|文化とゲームβテストの意外な関係
ゲーム開発におけるβテスト(ベータテスト)は、単なるバグの検出やバランス調整だけでなく、ユーザーの体験や反応を事前に把握するための重要な手段です。特に近年では、国内市場に留まらずグローバル展開を前提としたタイトルが増えており、他国プレイヤーを含めたβテストの設計と分析が求められています。しかし、同じゲームを同じタイミングでリリースしても、文化や価値観の違いによって、まったく異なるフィードバックが返ってくることがあります。本記事では、実際に発生した「日本と他国プレイヤーの反応が真逆だった」事例をもとに、文化的背景がβテストの結果にどのような影響を与えるのか、そして文化の違いをどのようにテスト設計やマーケティング戦略に取り入れるべきかについて、詳しく掘り下げていきます。

ゲームβテストの正解はどっち?非公開vs公開、ジャンル別に最適な選び方を徹底解説
ゲームのβテストを企画する際、「非公開β(クローズドβ)」にするか「公開β(オープンβ)」にするかは非常に重要な判断です。一見似ているようで、この2つの方式は目的や得られる結果が大きく異なり、ジャンルごとに最適解も変わります。本記事では、β方式の基本的な違いを整理したうえで、各ゲームジャンルにおいてどちらのテスト方式が適しているかをマトリクスで視覚化しながら詳しく解説していきます。開発者やマーケターが自信を持ってテスト設計できるよう、実例とともに現場目線でご紹介します。