1. AIによって実装は速くなったが、設計の難易度は下がっていない

AIは、SwiftでもFlutterでも、一定品質のコードを即座に生成できます。特に画面表示やAPI通信といった定型処理では、その効果は明確です。

 

一方で、次のような領域では、AIによって問題が見えにくくなるケースもあります。

状態管理がどこに集約されているか分かりにくい

・UIと業務ロジックの境界が曖昧になる

・生成されたコードの責務が整理されていない

 

これらは言語の問題というよりも、設計判断をAIに委ねすぎた結果といえます。特にSwiftとFlutterでは、この影響の出方が異なります。

 

2. Swift(ネイティブ)を選ぶ判断基準

Swift - Apple Developer

日本向けの業務アプリや長期運用を前提としたサービスでは、現在もSwiftによるネイティブ開発を選択するケースが多くあります。その理由は、単に「公式言語だから」ではありません。

 

Swiftを選ぶケース

・画面数が多く、業務ロジックが複雑

・3年以上の保守・機能追加を想定

・OSアップデートへの追従が重要

・将来的に別チームが引き継ぐ可能性がある

特にiOSでは、SwiftUIの導入が進んでいる一方で、すべてをSwiftUIで構成する判断は慎重に行われています。

 

実際の設計判断例

・一覧・設定画面など状態が単純な画面:SwiftUI

・業務ロジックが集中する画面:UIKit + ViewModel

 

このように、Swiftという言語の中でもUI技術を使い分けることが、保守性の面で重要になります。

 

3. Flutterを選ぶ判断基準

Flutter開発の特徴とメリットを国内事例と共に紹介

Flutterは、iOS・Androidを同時に開発できる点で非常に魅力的です。AIとの相性も良く、Dartコードの生成やUI構築は高速です。

 

ただし、日本向け案件では、次の点を前提に検討する必要があります。

 

Flutterが向いているケース

・画面数が限定的(目安として20画面前後)

・業務ロジックが比較的シンプル

・リリーススピードが最優先

・初期開発後、大規模改修の可能性が低い

 

一方で、次の条件が重なると、Flutterは保守フェーズで負担になりやすくなります。

・画面ごとの条件分岐が増える

・状態管理が複雑化する

・日本側でFlutterに詳しい保守要員がいない

 

この場合、「最初は速かったが、後から重くなる」構造になりがちです。

 

4. SwiftとFlutterの比較

AIによるコード生成は、Flutterでは特に「一気に書けてしまう」ため、設計を固める前にコードが膨らみやすい点に注意が必要です。

 

5. ベトナムエンジニア視点での注意点

ベトナムの開発チームは、FlutterやSwiftUIといった新しい技術への適応が早く、実装面では大きな強みがあります。ただし、日本向けのアプリプログラミングでは、次の点が評価を分けます。

・なぜSwiftではなくFlutterを選んだのか

・Flutterを選んだ場合、どこまでを対象範囲とするか

・将来Swiftに戻す可能性をどう考えているか

 

言語選択そのものよりも、その選択に至った思考プロセスが重要視されます。

 

6. AI時代にエンジニアが担う役割

AIがコードを書く時代において、エンジニアの役割は「速く書くこと」ではありません。

・言語ごとの特性と限界を理解する

・将来の変更を想定して境界を引く

・AIが生成したコードを設計に合わせて再構成する

 

SwiftかFlutterかという二択ではなく、「この条件ならどちらか」を説明できることが、AI時代のアプリプログラミングにおける技術力だと考えています。

 

AIによってアプリプログラミングの実装速度は大きく向上しました。しかし、SwiftとFlutterのどちらを選ぶかは、今もプロジェクトの将来を左右する重要な判断です。日本向けの開発では、長期保守や引き継ぎを前提とした設計が求められる場面が多く、その中でネイティブとクロスプラットフォームをどう使い分けるかが、エンジニアの価値になります。作れることが当たり前になった今だからこそ、選び方と設計の深さが、アプリの寿命を決めます。