1. 失敗①「画面=処理単位」と定義した瞬間に決まった構造
初期設計で次のような整理をした時点で、後の問題はほぼ確定します。
・画面コンポーネントがAPI呼び出しを直接持つ
・画面のライフサイクルと状態の寿命が一致している
・画面遷移=状態の切り替えという前提
この構造では、状態が画面に閉じ込められます。

結果として、
・同一データを扱う画面ごとに取得・加工ロジックが存在
・一部画面だけが古い状態を保持
・画面を跨いだ整合性保証ができない
という状況が、仕様変更なしでも自然発生します。
2. 失敗② APIレスポンスをそのまま状態として扱った結果
実装初期のスピードを優先し、以下の判断がよく行われます。
・APIレスポンスをそのまま画面状態として保持
・データ変換は描画直前に実施
・内部用のモデルを作らない
この判断は短期的には楽ですが、数か月後に次の問題を生みます。

ここで問題なのは、通信データとアプリ内部状態の境界が存在しないことです。
3. 失敗③ 非同期処理の完了条件をUIロジックに委ねた
非同期処理を画面側で制御すると、以下の構造になります。
・API呼び出し開始と終了をUIが判断
・ローディング表示のON/OFFが画面依存
・エラー処理が画面単位で分岐
単一API・単一画面では問題になりませんが、
・複数APIの依存関係
・画面遷移中の通信
・再試行やキャンセル処理
が必要になった瞬間に破綻します。
非同期処理の完了条件が視覚的状態に依存しているためです。
4. 失敗④ 状態の寿命と永続化境界を定義しなかった
設計段階で次を曖昧にすると、必ず後で詰みます。
・どの状態が一時的か
・どの状態が再起動後も必要か
・いつ破棄されるべきか
この判断を先送りすると、
・画面を戻るとデータが消える
・再起動後の復元仕様が場当たり的になる
・オフライン対応が実装できない
といった問題が連鎖します。
これは技術の問題ではなく、状態のライフサイクル設計不足です。
5. 失敗⑤ 不具合修正が必ず設計変更になる段階
最終的に現場で共有される感覚はこうです。
・直せないわけではない
・ただし、直すたびに別の場所が壊れる
・影響範囲が事前に読めない
この段階では、
・ロジックとUIが密結合
・状態管理が分散
・テストが構造的に書けない
という状態になっています。
ここまで来ると、改善ではなく作り直しが選択されがちです。
6. 5つの失敗が連鎖する技術的構造
これらの失敗は独立していません。

アプリプログラミングでは、最初に決めなかったことが、後で最も重い制約になります。
アプリプログラミングの失敗は、バグや技術選定の問題として表面化しますが、根本原因は設計初期の判断にあります。画面、状態、非同期処理、状態の寿命といった要素を曖昧にしたまま進めると、後工程で修正不能な構造が出来上がります。失敗から学ぶべきなのは実装テクニックではなく、どの判断が後戻りできない前提になるのかを見極める視点です。



